発達・知的障害と運転免許

免許取得は「挑戦です」

知的障害や発達障害の方やご家族からの相談が、近年増えています。

知的・発達障害があるからといって、必ずしも運転免許を取れない、ということはありませんが、障害の程度は多様で、一概に取れますよ!とは言えない現実があります。

知的・発達障害の免許制度

日本の運転免許制度上、知的・発達障害のある方に限定して適用される制限はありません。従って基本的に健常者と同様な手続きや手順を踏みます。

安全な運転に必要な要件

免許を取ることと、その先安全な運転を継続することが出来るかは別な話です。長く運転を継続するために、特に知的や発達障害を持った方は以下の点を十分検討することが大切です。

①社会性

自動車の運転は道路交通という社会(集団)の中で行われます。他者への気遣いや自制心、社会の一員として自覚は、安全な運転に欠かせない条件でしょう。

②集中力

基本的に自動車を運転している間は継続的な集中力が必要です。教習所では1回の実車教習が1時間弱ですので、最低でもこの程度の集中力の持続が必要です。

ハンドルを握れば障害も健常も区別なしです

実際に運転を始めたら、あなたは道路上では健常者として存在します。「障害があるから」という理由は一切通用しません。

実技よりも学科で躓く...

教習所に入るには費用を払えばだれでも入学できますが、教習が始まってから困難に気付く、ということがあります。当会に寄せられる一番多い事例は、学科授業についていけないというものです。これは、学力というケースと、集団による授業という授業形態に馴染めない、という二つの理由が多いです。多くの場合四肢に障害が無ければ運転操作自体に問題が起きることは少ないと思います。教習所は、事前に入所前に全額支払い、又はローン契約という手順になりますので、教習途中で退所しても支払った受講費用は返金されませんので注意が必要です。

服薬中の薬

服薬中の薬の中に運転禁止の対象になっている薬がある場合は、その薬の服用が終了するまで運転は出来ませんので教習所へ通うこともできません。

重複する障害をお持ちの方

知的や発達障害と肢体不自由が重複して障害している方の場合は、単独の障害よりも免許取得の難易度が上がります。まずは主治医の意向を確認し、その後免許センターの安全運転相談窓口で肢体不自由に関する適性検査を受けてから教習所へ入所します。

免許を取ろうかな?と思ったら?

まずは、主治医のいる方は主治医に相談してみましょう。あなたの障害で免許取得に挑戦できるかどうか助言してもらいましょう。

また、一般的に運転免許について相談にのってもらえる「安全運転相談」という免許センターの相談窓口がありますが、前述の通り道路交通法上は知的発達障害は健常者として扱われますので、あまり良いアドバイスはもらえないかもしれません。但し肢体不自由が重複している場合は別です。

免許取得に挑戦したい!

どうしてもチャレンジしてみたいと思うのであれば、いきなり自動車免許に挑戦すのではなく、原付免許などより敷居の低い免許からスタートすることをお勧めします。失敗しても費用が少なく済みます。

知的・発達障害に特化した教習所

全国数か所に障害に配慮した教習を行ってくれる教習所があると聞いておりますが、実際の状況について当会では把握していません。ネットで検索するなど探してみてはいかがでしょうか?

なお、当会では個別の教習施設などについての紹介はしていません。