絶対守ろう!安全な運転のために

第2のカーライフを始めよう

長い闘病とリハビリを乗り越えて、免許証の手続きも自動車の改造も終わった。さあ、いよいよエンジンをかけて公道へ出る準備が整いました。

自分は大丈夫かな?元通り運転できるかな?期待と不安が浮かんでくると思います。

このページでは、事前の手続きや自動車の改造が終わって、いよいよ運転を再開、又は始める方向けの、「絶対守ってほしい」ことをご紹介しましょう。

◆体の身体障害は消えません。

普段杖をついたり、車いすに乗っている人にとって、自動車の運転は特別の気持ちを感じるものです。杖や車いすで歩く人は、日常では健常者に追い抜かれたり、通れない場所があったり、いつも上から目線で他人から見られたりしますが、自動車を運転すると、そういう日常のストレスから解放されます。

障害者であることを忘れさせてくれる。それが自動車の運転席です。こんな風に感じるのは当然で、是非多くの方にこの気持ちを感じてほしいと思いますが、実際は少し違います。

身体障害は決してなくなってはいないのです。多くの身障ドライバーは、運転中に体の障害を意識しています。だから、健常な頃と全く同じに運転することは出来ないのです。意識して運転できないと事故を起こすのです。もちろん、障害の部位や程度によって様々ですので、一概に言い切ることは出来ませんが、体の麻痺や欠損などは運転に影響を及ぼします。

◆「免許の更新=運転できる」は間違い

臨時適性検査や主治医の診断書等の検査で合格しても、それは免許証の更新に合格しただけで、あなたが以前のように運転できることを証明したものでは全くありません。免許証を更新出来ても上手に運転できずに、運転を断念する人は少なくありません。

◆「すぐに通勤」「すぐに仕事で運転」は無理です。

退院したら出来るだけ早く運転を始めたい方は少なくありませんが、残念ですがいきなり自動車通勤や、業務で運転は不可能と考えて下さい。一定の練習「運転リハビリ」が不可欠だからです。

◆公道に出る前に練習を!

ほとんどの皆さんは、病院や施設などでのリハビリを通じて、日常生活を自力で送ることが出来よう訓練をされてきたと思います。トイレ、お風呂、食事、着替え等々、訓練を受けたからこそ、1人で暮らせるようになったはずです。

自動車の運転は、トイレやお風呂、食事、着替えに比べて、はるかに高度な作業であることはお分かりの通りです。だからこそ、「運転リハビリ」は欠かせません。

しかし、残念ながら日本ではそのような「運転リハビリ」を担ってくれる専用の施設やサービスはありませんので、自力で方法を探し出さなくてはなりません。

いくつかの方法をご紹介しましょう。

①教習所のペーパードライバー教習

どこの教習所でもペーパードライバー向けの教習やレッスンを受け付けていますので、自信が付くまでは教習所で練習しましょう。運転補助装置限定免許をお持ちの方や、麻痺のある方は、最低でも2時間×3回は必要です。可能な限り自家用車で教習できる施設を選びましょう。

②免許センターのコース開放

全国の免許センター(運転免許試験場)では、基本的に土日の週末に施設内のコースを練習のために開放しています。ドライバーの他に1名の同乗者(免許取得3年以上の方)が必要で、家族や友達でも大丈夫です。電話で予約を行い、当日の1時間前位に会場へ行きます。はじめての方でも親切に教えてくれますので気軽に参加できます。一枠50分程度で3000円ほどの費用が掛かります。各自治体別の連絡先はこちらを参考にして下さい。

③自宅周辺の公道で練習

どうしても練習の場所が探せない場合は、仕方がないので自宅周辺の公道で練習します。必ず同乗者をつけ、土日の早朝など、通行が少ない時間帯を選んで行います。一回の走行は片道30分、往復1時間以内にとどめます。特に認知機能に低下がある方は、長時間の練習は危険です。

◆運転する時間を考えよう

特に運転を始めたばかりの方は、運転する時間を考えることが事故防止に何より重要です。最初は片道30分以内。到着先で休憩した後復路30分の合計1時間にとどめましょう。少しずつ距離を伸ばしてゆくことが大切です。特に認知機能に低下がある方は1時間を超える運転をすると事故率が非常に上がります(当会調べ)

◆体調の悪い時は運転しない

体に障害がある方は、その日の体調が大きく変動することが少なくありません。昨日までは元気だったのに、朝起きたら体調が変。そういう時は絶対に運転しないでください。従って、毎日しなければならない自動車通勤などは、必ず代替の通勤手段を見つけておく必要があります。そして、代替の移動手段で通勤したとしても遅刻しないタイミングで起床します。その他にも結婚式などの決まった時間までに行かなければならい用事でも、通勤と同様に事前に代替手段を準備します。体調が悪いなあと感じたら絶対運転しない。是非守ってください。

◆無理だと思ったら運転は止める

何度練習しても上手にならない。不安が消えない等の場合は、運転を自主的に控えましょう。免許は持っているが運転はしていない、という方はたくさんいます。障害者の運転は、出来る人とできない人がいます。無理に運転して事故でも起こしたら大変です。運転しなくても免許証は持っていて構いません。返納する必要はないのです。