■何よりも大切なこと
困難を乗り越えて免許証を手にすることが出来た。いよいよ新たなドライバー人生の始まります。しかし、これからが一番大切です。運転を始めるあたって絶対に守ってほしいことがあります。
- 免許を持っていることと実際に運転するかしないかは別問題
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「免許証を手にすること=安全に運転できることの証明」ではありません。
運転するかどうかは本人が決めることです。
本人が決めることなので、全ての責任は本人が負います。
免許証は手に入ったけど自信が持てない。
気を付けるよう助言を受けている、などの場合は、すぐ運転する必要はありません。
自信が持てるようになるまで、また受けた助言の内容が改善できるまでトレーニングやリハビリを頑張りましょう。
だからと言って免許を返納する必要はありません。
免許証は運転だけでなく様々な場面で使い道のある証明書です。
練習、練習、また練習特に病気や障害で退院した後に運転を再開する場合や、新たな運転補助装置を使う場合は、練習が不可欠です。
車いすからベッドに移乗したり、一人でお風呂に入れるようになったのは、病院でリハビリ(練習)をしたからに他なりません。
自動車の運転は、ベッドへの移乗やお風呂よりもはるかに難易度の高い作業であり、失敗すればご本人だけでなく他人をも傷つけてしまいます。
練習せずに運転を再開することは、独学でベッドに移乗するより危険です。
練習の仕方については安全な自動車運転のためにを参考にして下さい。
- 常に自分の障害を意識する
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自動車を運転することで「自分の障害を忘れることが出来る」という人がいます。
その通りだと思います。
普段は車いすや杖を突いて道路を移動しても、健常者に追い越されたり、残念ながら邪魔扱いされることも少なくありません。
しかし、自動車の運転ならば、健常者と対等に移動することが出来るようになります。
しかし、この点はその通りなのですが、実際に身体障害が消えたわけではないのです。
厳しい言い方ですが、多くの身障ドライバー、もう何十年も事故も起こさずに運転を継続している人たちは、常に自分の障害を意識して運転しています。
障害の部位や程度によって、健常者にはない苦手な運転場面というのは必ず出てきます。
何十年も安全運転している身障ドライバーの共通点は、「自分が苦手とする場面に出くわすことがないように、常に注意して運転している」のです。
だから、常に自分の体を意識して、自分の身体障害ではどんな運転場面が苦手なのか?それを知ることが不可欠です。
そして、自覚することが出来れば対処が可能となり、結果として末長く運転を継続することが出来るようになります。
- 身障ドライバーと高齢化
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高齢ドライバーの自動車事故が大きな社会問題になっています。
加齢の影響で体が衰えることが主な原因と言われています。
加齢による体の衰えは人間であれば避けようのないことです。
体の衰えや認知機能の低下は、安全な運転に必要な「危険の予知や察知」「事故回避操作」に影響を与えます。
近年では高齢ドライバーへの厳しい批判や、それに伴う免許制度の規制強化などが75歳以上の高齢ドライバーに課せられていますが、高齢と身体障害が重複する人たちはどう考えたらいいのでしょうか?
このテーマについては現在では社会的なテーマになっていませんが、今から当事者自らが考えなければ、遠からず規制強化の対象となるであろうことを当会は心配しています。
高齢ドライバーの規制強化も、「当事者が自覚をもって事前に対処していれば」十把一絡げの法改正や社会からの大きな批判にはならなかった可能性は大いにあります。
これからも身障ドライバーが存在し続けるために、あえてこのような問題提起をしています。
- 「運転」とは、所詮はいつかは辞めなければならないという現実。自動車運転依存症にならないために
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ご自身の運転生活の最期について考えたことはありますか?
障害があろうとなかろうと、死ぬまで運転し続けることは事実上不可能です。
自動車免許制度上、免許の最期は次の3つのパターンのいずれかになります。
①事故を起こして取消し。
②更新時に試験が不合格で取消し。
③自主返納。です。
いずれの場合も元気なうちに選択しなければなりません。
つまり、いつかは車のない生活を送らなければならない日がやってきます。
①や②のケースで突然免許が失われてしまったら、その後どうやって生きてゆけばいいでしょう?
だからこそ、若いうちから「車のない生活に向けての準備」が必要です。
どこで暮らすか?誰と暮らすか?などの基本的な生活設計や、車依存にならないよう気を付ける習慣が欠かせません。
自家用車はとても便利な道具ですので、持っていれば使いたくなるのは当たり前。
だからといってなんでもかんでも外出の手段を車に依存することは、将来の自分の首を絞めることになりかねません。
自家用車を持っているからこそ、出来るだけ自動車以外の移動手段を活用し、将来の車のない暮らしに向けて準備することが大切です。
これは、障害者、高齢者に限らず、自家用車を保有するすべての方が考えなくてはなりません。
当会に相談して来る方の中にも、自動車が無いと生きてゆけないと訴える人がいますが、自宅を訪ねると、駅もバス停も商店街もすぐ近くにある、ということを目にすることがあります。
私たちはこういう人を「自動車運転依存症」と勝手に呼んでいますが、そういう人にならないよう、健常者はもとより、障害のある人も考えなければなりません。