自動車の選び方

■自動車選びは超重要。

健常な人たちなら、自分の気に入った車を選んで買うというのは当たり前ですが、残念ですが身障ドライバーはそうはいかないことが多いです。

確かに、昔は比較的自由度が高かった「車選び」ですが、現在では身障ドライバーが運転できる車種は非常に限られています。

買ってしまってから「乗れない」「改造できない」と言われたら大変です。

是非慎重な車選びをお願いします。

このページでは、車両購入でのトラブル事例をご紹介いたします。

■大前提(持っていた車を使う)

障害を負って運転再開する時、健常な頃に乗っていた車を買い替える人が多くいますが、絶対やめましょう。それは何故か?

  • 元々操作に慣れている自動車を使った方が、運転操作に慣れやすいから。
  • 運転再開後に事故を起こさない人はほとんどいません。そんなタイミングで新車を買う意味はまったくないでしょう。
  • 無駄遣いしない。あなたに支払われた保険は今後生きてゆくための大切な原資です。

■運転補助装置取り付け不能な車種

特に小型車に多い傾向がありますが、輸入車にも既存の装置が取付不能な車種が急増しています。

また、補助装置メーカーやその代理店の一部では、無理やり取り付けることで、アクセルやブレーキのレバーがきちんと動かないものがあります。

例えばアクセルは動くけど、50%分しかレバーが動かないとか、ブレーキをかけるとレバーがコンソールパネルに当たってしまうなどの、不適切な取付を行っている業者がいます。

自動車を購入してから気付いても手遅れです。車選びは慎重に行いましょう。

■乗り降りできない車種

特に車いすを利用する障害者のケースでは、運転席への移乗が出来ない車種が増えていることに注意が必要です。

乗り降りできないケースとして多いのは、運転席ドア開口部から座席端までの距離が遠いことがあげられます。

近年の新型車は、横方向からの衝突時の被害軽減を目的に、サイドシルと呼ばれている部分の幅が丈夫に広く設定されています。

乗降をサポートする機器を付けても、乗り降りできないケースも増えています。

健常者には分からないような、ミリ単位の距離の変化でも、障害当事者にとっては、乗り降り出来るかどうかの分かれ目になります。

■車いすを車内に乗せられない車種

車いすを利用する人は、動画のように車いすを後部座席に収納するのが一般的ですが、近年、特に新型車であるほどこの収納方法を行うことが出来ない車種が増えています。

具体的には、センターコンソールと呼ばれる部分の高さが年々高くなっており、車いすが引っかかって後部座席に乗せられない。というものです。

自動車を購入してから、車いすの積み込みが出来ないと知った場合、別途積み込み用クレーンや屋根上の収納ボックスを購入する必要があり、多額の出費を伴います。

■スイッチの移設・増設ができない車種

ヘッドライトやホーン、ウィンカー、ハザードなどのスイッチ類を、ドライバーが扱いやすい場所へ移設したり、新たに取り付けたりすることは、かつての自動車であれば比較的容易に行うことが出来ました。スイッチ配線を並列に取り出せば、自分の好きな場所にスイッチを移動させることが出来たのです。

しかし、現在の新車では、これらの作業を行うことはほぼ不可能となっています。理由は自動車の電気系統の電子化です。現在の自動車はコンピューターで制御されています。ウィンカーやハザードなどのスイッチ類もすべてがコンピューターで制御されます。従って、昔の車のような配線をいじることはできませんし、改造すると自動車そのものが壊れてしまいます。

現在、ほとんどの運転補助装置メーカは、これらの改造を請け負いません。従って、どうしても改造が必要という場合は、装置メーカーではなく、社外の電装系部品メーカー(アフターマーケット)に相談するほうが得策です。

■部品ごとに違うメーカーの物は付けない

稀に、自動車の改造を複数の別メーカーに依頼する人がいます。例えば手動装置はAメーカー製、旋回グリップはBメーカー製、車いす収納装置はCメーカー製などです。このような改造の仕方をすると、トラブルや故障時の対応を断られることがあります。

■中古は買わない

最近、インターネットのオークションサイトなどで、中古の運転補助装置が販売されていることがありますが、運転補助装置、時に手動運転装置などは車種や年式ごとの専用設計、もしくは現物合わせの特注品です。中古の製品を買っても自分の車には適合しませんし、部品だけを先に買って、メーカーに取付を依頼しても断られます。結局は自分が損をしますので、中古品は買わないように。

■どこに相談する?

自動車に関連する改造の不可については、一番詳しいのは改造メーカーです。運転補助装置の製造や販売を行っているメーカーに電話で相談しましょう。メーカには地域ごとに代理店網を持っていることがありますが、まずは本社へ問い合わせましょう。代理店はあてにならない場合があります。

必ず自動車を購入する前に相談します。入院中に病院へ出向いてくれる業者もいますので、遠慮なく電話で相談しましょう。

なお、一つのメーカーではなく、複数のメーカーに問い合わせすることをお勧めします。メーカーによって対応の可否は様々だからです。