服薬と運転

運転禁止医薬品を飲んで運転することは飲酒運転と一緒

病気や障害がある方の中には、病気の治療や悪化の予防のために薬を処方されている方がいます。これらの処方薬には「運転禁止」または「運転注意」の注意書きが添付された薬があります。おおよそ流通する処方薬の1/3程が運転禁止・注意に該当する薬とも言われています。

これらの運転禁止医薬品には、副作用として「意識障害」「強い眠気」「貧血」「過敏症」などがあり、運転中に副作用が起こると、重大な事故につながります。

もちろんすべての方に必ず副作用が起こる、というものではありませんが、飲酒運転も同じです。すべての酔っぱらいが事故を起こすわけではありません。

運転禁止医薬品を服薬して運転することは法律で禁止されていますし、副作用が原因で事故を起こした場合には、通常の交通事故ではなく、危険運転致死傷罪に問われます。

この罪に問われると、最高12年の懲役刑が科せられます。

事故捜査の強化

服薬など、病気や障害の影響による交通事故では、これまで、事故の実況見分などでも見過ごされたり、黙認されることが多かったと思いますが、警察庁は2019年3月から「病気や障害、服薬」について、事故捜査の強化を始めました。具体的には病気や障害や服薬に特化した専門の捜査部署を各県警に作り、怪しい案件を徹底捜査することを行っています。今日では加害ドライバーの通院歴や服薬歴等の捜査は当たり前に行われます。

免許更新は出来たけど「運転はダメ」こういうケースが多いのが身障ドライバー

病気や怪我の影響で、臨時適性検査を受けて無事に合格できたとしても、「運転は出来ない」という一見矛盾した状態になる方は少なくありません。

これは、免許証の更新の条件には「運転禁止医薬品」に関することは含まれないからです。含まれない理由は、薬は止めることや種類を変更できる可能性があるからです。

どんな薬が運転禁止?

向精神薬と言われている薬や強い痛み止め、血圧コントロールの薬など多種あります。同じ効果の薬であっても、銘柄などによって運転禁止医薬品であったり、そうでなかったりします。

自分が飲んでいる薬が運転禁止医薬品に該当するかどうかは、処方される薬に添付される「注意書き」に記載されています。薬を処方される際に渡される紙に書いてあります。「機械類の操作を控える」や「自動車の運転を控える」などと記載があれば運転禁止医薬品です。

事故を起こすと「危険運転致死傷罪」の対象です。

運転禁止医薬品を服用して、運転中に副作用が起きて事故を起こした場合は、通常の自動車事故ではなく危険運転致死傷罪として捜査されます。運転者がどんな病気に罹っているか?やどんな薬を飲んでいるかについて、警察は詳細に捜査しますので、免れることは出来ないでしょう。よくある自動車事故なら罰金を払って事故処理は保険屋さんに任せるのが一般的ですが、危険運転致死傷罪は、刑務所に行く可能性さえ十分あります。

対処方法

もし、自分が運転禁止医薬品を服用しているが、どうしても自動車を運転したい場合は、主治医や薬剤師に対して、薬の変更を相談しましょう。同じ効き目の薬であっても、運転を禁止する薬と禁止しない薬がある場合があります。

なお、自己の判断で処方薬の服用を中止するなどは、症状を急速に悪化させたりする可能性がありますので止めましょう。