理事長ブログ

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運転を控えよう医療機関が助言を与える手続きの好事例

 理事長の佐藤でございます。

さて、医療機関では、ケースによって「運転を控えるよう」患者に助言を与えることがあります。この件については研修会でも一つのテーマになっていますので、すでに多くの方がご承知かと存じますが、先日医療現場で好事例を見つけましたので、皆様と情報を共有したいと思っています。

 

わたしの友人が、事故による脳外傷で先月から急性期病院に入院しておりまして、身元保証人の立場でしたので退院の際に同行することになりました。

退院の際、病室へやってきた主治医の先生は、脳外傷の状態、今後のリハビリ等の方針やその手続きについて本人に説明し、

合わせて本事故とは別に、先天性の肢体不自由(脳外傷の後遺症はありませんでした)が加齢の影響もあり悪化しているので、改めて免許センターで適性相談を受けるよう助言しました。

そして、運転について「免許センターで許可が出るまで運転を控えること」を含め、退院説明の内容を記載した文書2通に、本人署名し、一通を病院が、もう一通を本人が保管するよう手続きを行いました。

 

このような取り組みは当会でも日ごろから医療機関に取り組んで欲しい内容でありますが、

すでにこのような取り組みを自主的に行っている医療機関があることに驚きました。

 

本人は、かなりのショックを受けていたようですが、近々適正相談の予約を取ると言っていました。

その後の結果がどうなるか?はわかりませんが、是非皆さんのお勤め先でも、このような事例を参考にして欲しいと思っています。

 

当会の取組についてはこちらをご参照ください。

 

by 理事長
2019年05月31日

安全な自動車運転に必要な認知機能について再考する

 理事長の佐藤でございます。

先日警察庁が実施した調査研究事業「認知機能と安全運転の関係についての調査研究」の報告書が公開されました。

この調査研究事業は、高齢ドライバー対策として、MCIに該当する方の免許手続きについてや、同じく高齢ドライバーに対する実車試験導入の検討の一環で行われています。

調査の内容については、主に被験者を「健常」「CDR0,5」「CDR1」の3グループに分けて、シミュレータと実車評価を行い、相関があるかどうかについて調べたものです。

結果については、詳細はデータセンターにアップロードした報告書原本をご参照頂きたいですが、あまり芳しい結論ではなかったようです。

 

シミュレータ調査はメーカー名の記載はありませんが報告書の写真からホンダセーフティナビが使用されていることが伺えます。

また、実車評価は自動車教習所を利用しています。

 

大まかな結論は「確かに認知症の方は事故リスクは高いようだが、健常者の中にもそれを超えるリスクがある人がいる」というものです。

 

このような結果を見て、私が個人的に思ったことは、

「そもそも人間は自動車を安全に運転する認知機能を有しているのか?」という疑問です。

または「自動車を安全に運転するための認知機能」という枠組み自体がそもそも存在するのか?という疑問です。

 

政府や行政機関が公表する報告書は、真意を読み解くことが難しいのが常ですが、

日常のお仕事でシミュレータや実車評価に携わっている方は是非読んで欲しいと思います。

 

報告書原本はこちら

 

by 理事長
2019年05月29日

運転再開後の運転状況アンケートの注意点

 理事長の佐藤でございます。

 

近年、運転再開後の患者が実際に運転を継続しているかや事故歴などをアンケート調査する医療機関の発表を目にすることが増えてきたように思います。

先日もある発表会で、アンケート調査についての発表をいくつか拝見させて頂きました。

運転再開後にどのように運転をされているのか?について医療機関が関心を寄せ、実際に調査することの意義は大変大きいと感じますし、ある意味勇気ある行動だと感服します。

 

しかし、発表の内容を見てみると、これが真実の結果なのか疑問に感じます。私の経験からくる印象や当会の行ったアンケートの結果と比較してもやはり乖離が大きいように思います。

私も当事者会員に対して何度も同様のアンケートを取ったことがありますが、アンケートの手法を工夫するにつれ、違う結果が出るようになりました。

違う結果とは、具体的には「運転再開後の自動車事故の有無」です。

そこで、私が行ったアンケートの経験から、当事者からより正確な情報を取得するための条件を皆様にお伝えしたいと思います。

 

前提)

まず、人間は誰でも、自分が自動車事故を起こしたという事実を他人に告白することはない。ということです。

私も皆さんも同様だと思います。自動車事故を起こすということは基本的に恥ずかしいことです。よほどの理由がなければ他人に事故履歴を明らかにすることはないでしょう。家族にさえ隠しておく、ということも珍しくはありません。

 

また、アンケート調査の実施主体が自分が診断書を書いてもらった病院であるならば、事故履歴を言いたくない、という気持ちはなおさら強くなるでしょう。

なぜなら、事故を起こしたことを告白すれば、医療機関からは「運転をやめるよう」言われるに違いない、と恐れているからです。

無記名のアンケートであっても、それが本当に個人を特定できないアンケートなのか?当事者は不信を感じます。

この前提を克服可能なアンケート調査の在り方がどのようなものなのか?明確なフォーマットはありませんが、当会では以下の対策をとっています。

 

対策)

調査目的
調査の目的がどのようなものなのか?回答者にとって最も重要なファクターです。単に運転再開後の運転状況を知りたいだけなのか?回答することが本人の利益につながるのか?不利益につながるのか?本人のみならず将来生まれてくる身障ドライバーの利益に資するものなのか否か?回答にバイアスがかからないように配慮しながら最大限の説明が必要です。
個人の特定
個人が特定されることが決してないことを確約することが大切です。直接の聞き取りや郵送による回答では誰が回答したかわかってしまいます。また筆記式の場合も当事者は本人特定を恐れます。
アンケート結果が本人に与える影響
アンケートに事故歴ありの回答をした際に、後日医療機関から「運転を控えるよう」に言われたことがある方や、「免許を返納するよう」助言を受けたという方からの相談があります。回答によってこのようなことが絶対に起こることのないような調査が不可欠です。
信頼関係
このようなデリケートな内容のアンケートを行う際には、アンケートの文面よりも、医療側と当事者との深い信頼関係が構築されていることが前提です。医療機関の運転支援チームは、定期的な本人ケアや連絡などに心がけ、日ごろから信頼関係を構築する努力が必要です。
家族へのアンケート
本人及び家族に同様のアンケートを行うことがありますが、この際は、本人向けと家族向けのアンケート手続きの手順を分けて行うことが大切です。郵送の際には別々の封筒に入れて別送したり、聞き取りの場合は本人と家族を同席させないなどの配慮が必要です。
事故の定義
「自動車事故」という言葉の定義は個人により様々です。人身事故であればだれもが「事故」と定義しますが、物損事故に関してはかなりあいまいな解釈です。壁や電柱、ガードレールにこすった、程度では事故とは呼ばない、という方もいらっしゃいます。アンケートを行うにあたっては、事故の定義を明確にすることが大切です。

臨時適性検査後に患者がどのような運転ライフを過ごしているかを知ることは、運転支援を継続的に行ってゆく上で非常に重要です。是非上記のような注意点に配慮し、継続的なアンケートが実施されることを当会は期待しています。

by 理事長

2019年03月12日

交通事故捜査の強化

 理事長の佐藤でございます。

 

本日データセンターを更新しました通り、警察庁が「交通事故捜査の強化」に関する通達を発出しました。

同様の通達は、数年に一度程度の頻度で発出されておりましたが、今回は、さらなる強化のための人員強化などが含まれております。

特に私どもの活動との関係から言いますと、危険運転致死傷罪の可能性のある交通事故に対する捜査(実況見分他)が強化されることは重要です。

 

これまで、危険運転致死傷3条(服薬や一定の病気等)の適用は、立証の困難さや、事故捜査の体制不足などもあり、適用件数と実体に乖離があったのではないかと当会では考えていましたが、この通達によって、捜査は強化され、危険運転致死傷3条の適用件数は増加してゆくのではないかと想像できます。

 

and more...

 

by 理事長

2019年03月07日

モータースポーツ活動と身障ドライバーの運転能力

 理事長の佐藤でございます。

私はこの会の代表者であるとともに「パラモジャパン」というモータースポーツ団体の代表者も務めさせて頂いております。

パラモジャパンとは、障害者モータースポーツというパラスポーツの統括組織でして、

パラリンピックの競技種目ではありませんが、800名程度の会員で組織されています。

私自身がプロのレーシングドライバーの新人育成事業を手掛ける会社を経営していたこともあり、

この経験を生かして健常者を超える身障レーシングドライバーを育成する団体です。

 

自動車レースでは、極限の環境で通常の自動車運転よりも、より正確で迅速な操作が求められますので、運転における身障ドライバーの弱点が如実に表れ、その解決に何が必要なのか?

対策は実効性のあるものだったのか?はタイムや順位で数値化されます。

 

ここで一つの事例をご紹介しましょう。

自動車レース車両の車内を写真などで見ると、バケットシートと呼ぶ、体をすっぽり覆うような形状の座席に座り、両肩と腰を固定する強固なシートベルトをドライバーが装着しているのに気づくと思います。

 

このスタイルの大きな目的は事故が発生したときに体が衝撃を受けないよう固定する役割ですが、もう一つ重要な役割があります。

それは、運転中の座位保持を確保する、という役割です。

運転中の体に作用する様々な振動や左右前後加速度に対して座位を確保する。

このことによって、ハンドルを握る腕に余分な力がかからず(座位保持の支えとしてハンドルを利用しないという意味)その分、迅速で正確なハンドル操作を実現することが出来るようになります。

両手でハンドルを握ることで、体を支えてしまうと、的確にハンドル操作をすることが出来ないのです。

これは、身障ドライバーの日常の運転操作にも通用する理屈です。

座位保持に課題のある運転者の多くは、ハンドルを座位保持の支えとして利用しつつ、ハンドル操作を行います。このような操作、力の配分は、正確な操作を妨げ、事故を回避するという一番重要なシチュエーションで、避けきれない、また避けすぎてしまう、ということが起こります。

 

身障のレーシングドライバーの場合は、片手でハンドルを握るケースが多いため、ハンドルを握ることの影響は、健常者に比較して深刻な影響を与えます。

問題の解決には筋力強化が最も重要ですが、なによりも運転中の座位保持性を高めるクッションの利用が有効です。

 

このように、障害者モータースポーツで得られる様々な知見は、一般の身障ドライバーの安全な自動車運転に生かされています。

 

パラモジャパンでは身障ドライバーによる耐久レース挑戦プロジェクト「ドリームメーカーレーシングプロジェクト」を2012年から行っていますが、2018年度は年間順位3位を獲得しました。このレースは80数台のエントリーがあり、私ども以外はすべて健常者のチームです。

「体に障害があっても安全に自在に自動車を操れる」ことを、広く社会に発信する事業でもあります。

ご興味のある方は是非WEBサイトをご覧ください。

★パラモジャパン公式サイト

★耐久チーム公式ホームページ

 

 

by 理事長

2019年02月24日
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