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片手でハンドルを操作するために役立つ道具

 理事長の佐藤でございます。

手動装置ユーザーや片麻痺などの障害のために、片手でハンドルを操作しなければならいケースがあります。

片手でハンドルを操作することは、両手で操作するよりも、より大きな筋力が片側の腕や手に必要となることは容易に想像できます。

また、片手でハンドル操作をすることは、両手で操作をすることとは、根本的に筋力の使い方に違いがあることは、研修会でもお話ししている通りです。

 

健常な頃から右手だけでハンドルを回していた、という方であれば、右手のみのハンドル操作に不都合が出ることはあまりありませんが、左手だけでハンドルを回す経験は、ほとんどの方が経験したことがないと思います。ハンドルを回すという行為は単純な作業ですが、普段行ったことの無い左手だけで行うことは意外と難しいです。特にハンドル操作は、回すという行為とある位置で回すことを停止させ、その位置で保持する、という行為の2つの種類の行為を行いますので、単純に回すということではないことは、普段皆さんも運転の中で経験できると思います。

 

ハンドルを回すとは、

①ハンドルを回す筋力

②回す行為を停止せる筋力

③停止させた位置で保持する筋力

この3つの要素が連続しながら行われる操作です。

運転者の筋力が低下する、または使い慣れない側の腕で操作する場合、①~③のいずれか、またはすべてに影響を及ぼし、適切なハンドル操作を阻害する要因です。

例えば①の場面で筋力が十分に無いと、ある位置までハンドル回す速度(角速度)が遅くなり、結果として、自動車の旋回半径が想定より大きくなります。例えば交差点を左折する場合、左折が終わった時に、センターラインを越えて反対車線へはみ出す、という現象が現れます。このことを十分理解していないと実車評価などにおいて「空間認識異常」などと間違った評価をする可能性があります。

②の場面では、ハンドルを回すことを止めたいとドライバーが考えていても、筋力が低下していれば希望の位置で止めることが出来ず、「余計に切りすぎる」ことが発生します。

③の場面では、ハンドルを保持する筋力が不足すると、腕の疲れとして現れ、①②の操作に影響を及ぼします。

 

適切なハンドル操作において、特に腕と手の筋力は重要(実際には胸部等の筋力も使っています)ですが、長期の入院や利き腕でない方であること、また座位保持バランスなどの影響で、適切な筋力を発揮できないケースは少なくありません。

このようなケースにおいての有効な策は筋力強化に他なりませんが、ドライビンググローブの装着は、ハードウェアを使った簡単な対策として有効です。

ドライビンググローブとは、手のひらとハンドル部の摩擦を上げて、握る力を軽減させる効果があり、握る力を軽減できれば、腕の筋力への負担が軽減され、結果として、少ない筋力を回すという動作に活用することが可能になります。

 

実際にドライビンググローブを使ってみるとわかりますが、ハンドルがすごく軽くなった印象を持つはずです。

健常な方でも装着している方がいますが、片手でハンドルを操作する方に最適な道具です。

インターネットショップなどで多数販売されていますので、是非使ってほしいと思います。

 

 

 

by 理事長
2019年09月21日

消費増税と福祉車両の消費税減免措置

 理事長の佐藤でございます。

10月から値上げとなる消費税。

世の中では、牛丼を持って帰るとどうなるか?

などの議論で盛り上がっているようですが、

実はその陰でひっそり進行しているのが、

福祉車両購入時に適用される、消費税減免制度の廃止。(というか無効化)

この減免措置の意味は、福祉車両には、様々な部品を後から追加で装着しないと、ユーザー乗れなかったり、運転できなかったりすることがあることから、

健常な人よりも、自動車購入費が高くなるので、そこを補填することが目的。

自操式車両や、介護用途などの車が対象です。(適用には様々な条件があります)

この減免制度、以前から中古車屋さんなどは対応してくれないケースが少なくありませんでした。稀に減免措置でトラブルになったり、そういうことは珍しくありませんでした。

なぜ中古車屋さんは消費税減免しないのか?

これは、消費税減免措置は法律上義務ではないからです。

従って、いくらトラブっても、最終的に中古車屋さんの言い分が通ります。

じゃあ、Dで買ったら減免にしてくれるのはなぜ?

まあ、簡単に言えば企業の社会的責任(CSR)や親切。というのが理由だと思います。

こういういい加減な制度が存続していたこと自体驚愕ですが、

これが10月の増税以降、国内自動車メーカー系のDでも減免取りやめに方針転換しています。

以前も書きましたが、この減免分は「損税」と言われていて、政府が補填しているのではなく、販売した企業が負担しているのですね。

なので、中古車屋さんなどで減免販売すると、利益が全部吹っ飛ぶほどの威力です。

これは、Dも一緒で、売ったのに利益ゼロじゃ、企業経営という観点からも問題なわけです。

 

消費税減免措置が空洞化すると、特に低所得の人たちや、障害を持った子供の家族に重く負担がかかるんですね。

特装車扱いなので、形はミニバンでも、値段は相当跳ね上がりますから。

なので、私たちは減免ではなく、購入時の補助を要望しています。

収入や車両価格に制限をかけて、補助率を設けるわけです。

 

自動車税の見直しなどによって、障害のある方への自動車保有平等化措置は、無くなりますから、これで減免もなくなったら、何も残りません。

日本身障運転者支援機構では、この損税問題を改善し、国費で補填するよう以前から国会を通じて働きかけています。

by 理事長
2019年09月05日

所謂「脱着式手動運転装置」の事故事例

 理事長の佐藤でございます。

運転リハフォーラムでも毎回テーマになる「脱着式手動運転装置」

ドライバー本人がその都度車両へ取付できることが、レンタカーユーズやカーシェアリングで有効となると言われております。

しかし、脱着可能である限り、脱落の可能性は排除できません。

また、工具を使わず固定できるよう設計されていることも多く(工具を使って固定する方法になると指定部品の対象となり車検の対象になりますが、工具不要で取付できれば車検の対象になりません。(指定部品外となるため)例えばドリンクホルダーや車内用ごみ箱などは車検の対象外です)強固な固定が確保できているかは未確認です。

 

さらに、手動運転装置を使用するユーザーの多くは車いす利用者になりますが、当事者本人が、足元のペダルスペースに体を潜り込ませて取り付けすることが、身体的に可能かどうか?出来る人は非常に限られてくるのではないでしょうか。製品によっては車種ごとに微妙な調整を行い、何度も付け外しが必要なものもあります。

 

また、ドライバー自身が取り付けることが前提の商品ですので、脱落についての責任は全て取り付けたドライバー本人が負うことにもなりますし、ドライバーが出来ないので同乗者が代わりにつけてあげたら、全ての責任は同乗者が負うことになるかもしれません。

 

これまでも当会にこのような装置を購入された方からの事故相談が入っておりましたが、私自身この目で現場を見たことはありませんでした。

しかし、最近、YouTubeでアクセルペダルから装置が外れ、横転する事故の動画があることを知りました。

今回はメーカー名や動画のリンクを貼りませんでしたが、販売者及び輸入元に対して、事実関係と脱落原因について正式な質問を行ったうえで、その回答を受けてから動画のリンクを貼るかどうか検討したいと思います。

 

 

by 理事長
2019年08月29日

[追記] 半側空間無視と運転可否判断

 理事長の佐藤でございます。

先日公開したブログに書き忘れたことがありましたので改めて追記させて頂きます。

それは何かというと、半側空間無視の影響が現れる運転行動として書いた4つの事例について、

実は半側空間無視ではなく別の要因で同じような運転行動が現れることがあるのです。

この点は実車評価などでも十分注意して評価を行わないと、半側空間無視ではないのに無視があると評価してしまうことになりかねません。

 

まず①②③については、ドライバーの筋力の低下によっても同じような行動が現れることがあります。長期入院の影響や、座位保持不良によるハンドルへの操作力の伝達不良などです。

①②③については、もう一点。右麻痺に多いですが、病前に使ったことの無い左手一本でハンドルを操作することから「慣れていない」ことが影響する場合があります。普段私たちは右手一本でハンドルを操作することは経験している人が多いと思いますが、左手一本でハンドルを操作したことはほとんど一度もないはずです。

また、①②③共通で、旋回グリップを使用している場合は、旋回グリップを外した状態でもう一度試してみて、同じ運転行動が再現するか確かめましょう。旋回グリップというのは、見た目と違って、かなり、慣れが必要な使いにくい道具です。

 

③方向変換などで、操作がおぼつかない、何度も切り返す、ポールに接触するなどのケースは少なくありませんが、車庫入れ下手=空間認識?と考えるのは早計です。

特に座位保持に不安のある片麻痺、脊髄損傷のドライバーは、車庫入れ時に体をねじって後方を見ることに不安を感じます。体が助手席側に倒れてしまう予感がするからです。実際に体を助手席側にねじると、助手席側に倒れる人もたくさんいます。したがって、これらの人たちは、車両両側のサイドミラーを使って車庫入れをしようとします。

しかし、病前には体をねじって直接後部を確認しながら車庫入れしていた人が、急にサイドミラーだけで車庫入れするのはほとんど不可能です。

車庫入れでまごついたりしたときは、ドライバーがどのような体勢でバックしていたのか?また健常な頃はどのようにバックしていたか?確認が必要です。バックが下手=空間認識異常と短絡的に見るのは危険です。

 

④の場合は、健常な頃に乗っていた自家用車と違う車種で評価するときには現れやすいです。そのあたりの確認もした上で評価を行うとよいでしょう。

 

by 理事長
2019年08月26日

半側空間無視と運転可否判断

 理事長の佐藤でございます。

前回ブログと同じように、半側空間無視も、現在では一律で運転不可という判断を再検討する医療機関が増えているようです。

当然のことながら半側空間無視は欠格事項ではありませんので、一律で運転不可とすることは法の趣旨と異なっています。

また、医療機関も経験を重ねる中で、半側空間無視を一律で排除することに疑問を持ち始めているのだろうと感じます。

 

私が行うレッスンにも半側空間無視の方が何人もいらっしゃいますが、上手く運転する人もいるし、問題のある人もいますが、皆さん臨時適性検査を合格しています。

また、急性期には半側空間無視があると言われたが、退院時には回復している、と病院から言われた方もたくさんいらっしゃいます。

しかし、上記のケースの多くで、実際に公道を走ってみると半側空間無視特有の運転行動が現れることが多く、医学的には回復したと判断されていても、必ずしもそうではないというケースが間々あります。このようなケースでは、ご本人に対して運転は控えるよう言い、同時に病院に改めて相談しリハビリを行うよう助言を行っています。

 

半側空間無視特有の運転行動とは、普通の公道走行では現れないことの方が多いです。ではどのような場面で現れるのか?それは運転時間が長くなった時や、体調がすぐれないとき、雨天や夜間など、そして、かなり複雑なコース走行です。

運転時間が長くなった時というのは1時間を超える連続運転(教習所ではなく公道)を指します。疲れや集中力の低下などの影響があるかもしれません。

走行をスタートしていきなり左側の縁石にがりがりこすりつけながら走る人には会ったことがありません。大体皆さん1時間を超えてあたりから段々と運転が変わってゆくものです。

その日によって体調に波があるというのは、障害のある方共通の症状のようです。体調の悪い時に運転すると、半側空間無視だけでなく、様々な認知機能の低下が表面化することが多いです。

雨天や夜間などは、昼間よりもより集中して認知機能を発揮しなければなりませんし、複数の注意を同時に行うなど難易度が高く、このような状態では、やはり、平時には表れない隠れた認知機能障害が表面化することがあります。

 

半側空間無視の影響が現れる運転行動とは以下のようなものです。

①直進中であっても車線内で左右に蛇行して安定しない。

②車線左側に寄ったラインで走行する。(縁石に接触するなどはほとんどありません。ギリギリのタイミングでご本人は気付くようです)

③方向変換が上手にできない。

④車線左によって停車することが出来ない。車線を越えてしまう。

 

運転リハフォーラムでも、このような事例のビデオを皆さんに見て頂いており、すでに参加された方はご存知の通りですが、半側空間無視は補償運転が可能であり、そのような器用なドライバーは、そう簡単に半側空間無視を表に出しません。かなり難易度の高い空間認知力が必要な、複雑な運転、例えばクランクをバックで運転する、長時間運転してもらう、重複する注意課題を与えるなどをやってみないとわからないことがあります。

私の経験上、教習所のコース走行の内容や50分という時間制限での評価で、半側空間無視による運転への影響を判断することは困難ではないか?と思います。

 

by 理事長
2019年08月24日

コミュニケーション障害と自動車免許更新

 理事長の佐藤でございます。

 

以前にもブログで書きましたが、現在においても交通事故時の救護義務(警察や消防への通報)を果たせないという理由で「運転不可」の診断をされた、という相談が当事者よりありましたので、改めて確認したいと思います。

 

言語障害があることで、交通事故時の救護義務(通報義務)を果たせないため、診断書提出対象者に対して運転不可の診断を行う医療機関があるようですが、

単にコミュニケーションに障害があるということで運転不可の診断を行うことは間違っていますので注意が必要です。

現在、電話などでの通話が出来ない程度の聴覚障害でも免許は取得できますし、2種免許を取得して事業用自動車を運転している人さえいます。

従って、電話で話が出来るかどうかは免許の可否判断と関係ありません。

 

さらに、かねてより各都道府県警察では「メール110番」というシステムを持っており、音声通話が出来ない方向けの通報システムを持っています。

東京都と大阪府では、専用のスマホアプリによるチャットにより110番通報できるシステムも持っており、このシステムは昨年から順次全国へ展開中です。

 

このように、10年前では当たり前に行われてきた、言語障害の免許可否判断は、時とともに変化してきましたし、他の可否判断要素についても、時代の変化に伴って変化しています。常に最新の情報を入手し、古い情報だけを頼りにせず、評価者自らが常に考える姿勢を持つことが大切です。

 

なお、私の経験の範囲ですが、言語障害には単に言葉が出にくいという面だけでなく、言葉の意味をよく理解できない、という状態もあるようで、例えば右左の意味を理解できないや、止まるや走るといった、運転中によく使う言葉の意味が理解できない方がいるようです。このような方に対しては、身振りなどで合図を送ると正しく理解してもらえることが多いですので、そのような状態であることを本人や家族に十分伝えたうえで、本人の自覚や家族の協力を得られるか?また、医学的には今後の回復の可能性について、十分検討することが大切です。

 

by 理事長
2019年08月24日

障害者の新規免許取得

 理事長の佐藤でございます。

体に障害がある方が、新たに自動車免許を取得する、また取得を希望する方は一定数いると言われていましたが、年間にどのくらいの方が取得、または取得に挑戦しているか、実数は公表されていませんでした。

当会でも、警察庁に対して情報を公開するよう要望をしてきましたが、「そのような統計は存在しない」という回答が続いていました。

 

当会では、新規で免許取得を希望する人たちへ、どのような支援が可能なのか?模索してきましたが、対象者がどのくらいいるのかがわからず、先に進めない状況が続いていました。

新規取得希望者の中には、一定数の先天的な障害を負った人たちが含まれていることが考えられ、すでに免許を持っている方の更新手続きより難易度が高く、また、受け入れ教習所が見つからないなど、当事者は手探りで進んでゆかなければなりません。

 

このような現状ではありますが、最近、障害のある人の教習生の実数があることを知りましたので、皆さんとシェアしたいと思います。

全国指定自動車教習所協会連合会の資料によると、

H29年の調査で、肢体不自由513名。聴覚障害392人。その他128人。だそうです。

合計で1033人ですから、自分のイメージより多いよう感じました。

この数値は、教習生の人数ですので、最終的に免許取得までたどり着いた方がどの程度いるかは不明です。

 

また、身体障碍者用の改造が行われている教習車の台数については、手動式が170台。左アクセルが228台。足動車が4台。その他81台となっているそうです。

全国にある指定教習所は約1340か所ということですので、自分の障害に合った装置を用意している教習所を地元で見つけることはかなり困難であると思います。

また、障害者の免許取得を積極的に推進している教習所もあることから、そのような施設が上記の台数をかさ上げしている可能性もあるかもしれません。

 

体に障害がある人が自動車免許を取得することは、かなり難易度の高い一つの挑戦です。

教習所に通ったけれど、結局取得できなかった、という事例もあることは事実です。

しかし、少なくとも、健常な人たちと同様に、いつでもだれでも免許取得に挑戦できる環境を整えることは、最低限必要ではないでしょうか?

 

資料の原本はこちら

 

by 理事長
2019年08月21日

運転を控えるよう医療機関が助言を与える手続きの好事例

 理事長の佐藤でございます。

さて、医療機関では、ケースによって「運転を控えるよう」患者に助言を与えることがあります。この件については研修会でも一つのテーマになっていますので、すでに多くの方がご承知かと存じますが、先日医療現場で好事例を見つけましたので、皆様と情報を共有したいと思っています。

 

わたしの友人が、事故による脳外傷で先月から急性期病院に入院しておりまして、身元保証人の立場でしたので退院の際に同行することになりました。

退院の際、病室へやってきた主治医の先生は、脳外傷の状態、今後のリハビリ等の方針やその手続きについて本人に説明し、

合わせて本事故とは別に、先天性の肢体不自由(脳外傷の後遺症はありませんでした)が加齢の影響もあり悪化しているので、改めて免許センターで適性相談を受けるよう助言しました。

そして、運転について「免許センターで許可が出るまで運転を控えること」を含め、退院説明の内容を記載した文書2通に、本人署名し、一通を病院が、もう一通を本人が保管するよう手続きを行いました。

 

このような取り組みは当会でも日ごろから医療機関に取り組んで欲しい内容でありますが、

すでにこのような取り組みを自主的に行っている医療機関があることに驚きました。

 

本人は、かなりのショックを受けていたようですが、近々適正相談の予約を取ると言っていました。

その後の結果がどうなるか?はわかりませんが、是非皆さんのお勤め先でも、このような事例を参考にして欲しいと思っています。

 

当会の取組についてはこちらをご参照ください。

 

by 理事長
2019年05月31日

安全な自動車運転に必要な認知機能について再考する

 理事長の佐藤でございます。

先日警察庁が実施した調査研究事業「認知機能と安全運転の関係についての調査研究」の報告書が公開されました。

この調査研究事業は、高齢ドライバー対策として、MCIに該当する方の免許手続きについてや、同じく高齢ドライバーに対する実車試験導入の検討の一環で行われています。

調査の内容については、主に被験者を「健常」「CDR0,5」「CDR1」の3グループに分けて、シミュレータと実車評価を行い、相関があるかどうかについて調べたものです。

結果については、詳細はデータセンターにアップロードした報告書原本をご参照頂きたいですが、あまり芳しい結論ではなかったようです。

 

シミュレータ調査はメーカー名の記載はありませんが報告書の写真からホンダセーフティナビが使用されていることが伺えます。

また、実車評価は自動車教習所を利用しています。

 

大まかな結論は「確かに認知症の方は事故リスクは高いようだが、健常者の中にもそれを超えるリスクがある人がいる」というものです。

 

このような結果を見て、私が個人的に思ったことは、

「そもそも人間は自動車を安全に運転する認知機能を有しているのか?」という疑問です。

または「自動車を安全に運転するための認知機能」という枠組み自体がそもそも存在するのか?という疑問です。

 

政府や行政機関が公表する報告書は、真意を読み解くことが難しいのが常ですが、

日常のお仕事でシミュレータや実車評価に携わっている方は是非読んで欲しいと思います。

 

報告書原本はこちら

 

by 理事長
2019年05月29日

運転再開後の運転状況アンケートの注意点

 理事長の佐藤でございます。

 

近年、運転再開後の患者が実際に運転を継続しているかや事故歴などをアンケート調査する医療機関の発表を目にすることが増えてきたように思います。

先日もある発表会で、アンケート調査についての発表をいくつか拝見させて頂きました。

運転再開後にどのように運転をされているのか?について医療機関が関心を寄せ、実際に調査することの意義は大変大きいと感じますし、ある意味勇気ある行動だと感服します。

 

しかし、発表の内容を見てみると、これが真実の結果なのか疑問に感じます。私の経験からくる印象や当会の行ったアンケートの結果と比較してもやはり乖離が大きいように思います。

私も当事者会員に対して何度も同様のアンケートを取ったことがありますが、アンケートの手法を工夫するにつれ、違う結果が出るようになりました。

違う結果とは、具体的には「運転再開後の自動車事故の有無」です。

そこで、私が行ったアンケートの経験から、当事者からより正確な情報を取得するための条件を皆様にお伝えしたいと思います。

 

前提)

まず、人間は誰でも、自分が自動車事故を起こしたという事実を他人に告白することはない。ということです。

私も皆さんも同様だと思います。自動車事故を起こすということは基本的に恥ずかしいことです。よほどの理由がなければ他人に事故履歴を明らかにすることはないでしょう。家族にさえ隠しておく、ということも珍しくはありません。

 

また、アンケート調査の実施主体が自分が診断書を書いてもらった病院であるならば、事故履歴を言いたくない、という気持ちはなおさら強くなるでしょう。

なぜなら、事故を起こしたことを告白すれば、医療機関からは「運転をやめるよう」言われるに違いない、と恐れているからです。

無記名のアンケートであっても、それが本当に個人を特定できないアンケートなのか?当事者は不信を感じます。

この前提を克服可能なアンケート調査の在り方がどのようなものなのか?明確なフォーマットはありませんが、当会では以下の対策をとっています。

 

対策)

調査目的
調査の目的がどのようなものなのか?回答者にとって最も重要なファクターです。単に運転再開後の運転状況を知りたいだけなのか?回答することが本人の利益につながるのか?不利益につながるのか?本人のみならず将来生まれてくる身障ドライバーの利益に資するものなのか否か?回答にバイアスがかからないように配慮しながら最大限の説明が必要です。
個人の特定
個人が特定されることが決してないことを確約することが大切です。直接の聞き取りや郵送による回答では誰が回答したかわかってしまいます。また筆記式の場合も当事者は本人特定を恐れます。
アンケート結果が本人に与える影響
アンケートに事故歴ありの回答をした際に、後日医療機関から「運転を控えるよう」に言われたことがある方や、「免許を返納するよう」助言を受けたという方からの相談があります。回答によってこのようなことが絶対に起こることのないような調査が不可欠です。
信頼関係
このようなデリケートな内容のアンケートを行う際には、アンケートの文面よりも、医療側と当事者との深い信頼関係が構築されていることが前提です。医療機関の運転支援チームは、定期的な本人ケアや連絡などに心がけ、日ごろから信頼関係を構築する努力が必要です。
家族へのアンケート
本人及び家族に同様のアンケートを行うことがありますが、この際は、本人向けと家族向けのアンケート手続きの手順を分けて行うことが大切です。郵送の際には別々の封筒に入れて別送したり、聞き取りの場合は本人と家族を同席させないなどの配慮が必要です。
事故の定義
「自動車事故」という言葉の定義は個人により様々です。人身事故であればだれもが「事故」と定義しますが、物損事故に関してはかなりあいまいな解釈です。壁や電柱、ガードレールにこすった、程度では事故とは呼ばない、という方もいらっしゃいます。アンケートを行うにあたっては、事故の定義を明確にすることが大切です。

臨時適性検査後に患者がどのような運転ライフを過ごしているかを知ることは、運転支援を継続的に行ってゆく上で非常に重要です。是非上記のような注意点に配慮し、継続的なアンケートが実施されることを当会は期待しています。

by 理事長

2019年03月12日

交通事故捜査の強化

 理事長の佐藤でございます。

 

本日データセンターを更新しました通り、警察庁が「交通事故捜査の強化」に関する通達を発出しました。

同様の通達は、数年に一度程度の頻度で発出されておりましたが、今回は、さらなる強化のための人員強化などが含まれております。

特に私どもの活動との関係から言いますと、危険運転致死傷罪の可能性のある交通事故に対する捜査(実況見分他)が強化されることは重要です。

 

これまで、危険運転致死傷3条(服薬や一定の病気等)の適用は、立証の困難さや、事故捜査の体制不足などもあり、適用件数と実体に乖離があったのではないかと当会では考えていましたが、この通達によって、捜査は強化され、危険運転致死傷3条の適用件数は増加してゆくのではないかと想像できます。

 

and more...

 

by 理事長

2019年03月07日

モータースポーツ活動と身障ドライバーの運転能力

 理事長の佐藤でございます。

私はこの会の代表者であるとともに「パラモジャパン」というモータースポーツ団体の代表者も務めさせて頂いております。

パラモジャパンとは、障害者モータースポーツというパラスポーツの統括組織でして、

パラリンピックの競技種目ではありませんが、800名程度の会員で組織されています。

私自身がプロのレーシングドライバーの新人育成事業を手掛ける会社を経営していたこともあり、

この経験を生かして健常者を超える身障レーシングドライバーを育成する団体です。

 

自動車レースでは、極限の環境で通常の自動車運転よりも、より正確で迅速な操作が求められますので、運転における身障ドライバーの弱点が如実に表れ、その解決に何が必要なのか?

対策は実効性のあるものだったのか?はタイムや順位で数値化されます。

 

ここで一つの事例をご紹介しましょう。

自動車レース車両の車内を写真などで見ると、バケットシートと呼ぶ、体をすっぽり覆うような形状の座席に座り、両肩と腰を固定する強固なシートベルトをドライバーが装着しているのに気づくと思います。

 

このスタイルの大きな目的は事故が発生したときに体が衝撃を受けないよう固定する役割ですが、もう一つ重要な役割があります。

それは、運転中の座位保持を確保する、という役割です。

運転中の体に作用する様々な振動や左右前後加速度に対して座位を確保する。

このことによって、ハンドルを握る腕に余分な力がかからず(座位保持の支えとしてハンドルを利用しないという意味)その分、迅速で正確なハンドル操作を実現することが出来るようになります。

両手でハンドルを握ることで、体を支えてしまうと、的確にハンドル操作をすることが出来ないのです。

これは、身障ドライバーの日常の運転操作にも通用する理屈です。

座位保持に課題のある運転者の多くは、ハンドルを座位保持の支えとして利用しつつ、ハンドル操作を行います。このような操作、力の配分は、正確な操作を妨げ、事故を回避するという一番重要なシチュエーションで、避けきれない、また避けすぎてしまう、ということが起こります。

 

身障のレーシングドライバーの場合は、片手でハンドルを握るケースが多いため、ハンドルを握ることの影響は、健常者に比較して深刻な影響を与えます。

問題の解決には筋力強化が最も重要ですが、なによりも運転中の座位保持性を高めるクッションの利用が有効です。

 

このように、障害者モータースポーツで得られる様々な知見は、一般の身障ドライバーの安全な自動車運転に生かされています。

 

パラモジャパンでは身障ドライバーによる耐久レース挑戦プロジェクト「ドリームメーカーレーシングプロジェクト」を2012年から行っていますが、2018年度は年間順位3位を獲得しました。このレースは80数台のエントリーがあり、私ども以外はすべて健常者のチームです。

「体に障害があっても安全に自在に自動車を操れる」ことを、広く社会に発信する事業でもあります。

ご興味のある方は是非WEBサイトをご覧ください。

★パラモジャパン公式サイト

★耐久チーム公式ホームページ

 

 

by 理事長

2019年02月24日

運転評価における医療の責任

 理事長の佐藤でございます。

臨時適性検査に係る診断書作成を実施しない医療機関は大変多く、「運転リハビリ難民」ともいえる当事者からの相談案件は、当会に最も多く寄せられる内容の一つです。

診断書提出に必要な評価や診断書作成は、本来の医療行為とは別の側面がありますので、運転評価を行うか行わないかは、医療機関の判断にゆだねられています。

他方で、運転評価や診断書作成を行わない医療機関の多くは医療行為であるかどうか?よりも、「運転について責任を負えない」という立場であることが多いようです。

もし「運転についての責任」を心配されているのでしたら、あなたは診断書作成の在り方そのものを誤解しています。

 

法的には、診断書作成によって運転再開をされた方が交通事故を起こした場合、医師が刑事責任を問われることはありませんが、民事訴訟はその限りではありませんので、訴訟リスクはないとは言えないでしょう。これは運転に限らずすべての病院のお仕事においても起こりうると言えるでしょう。民事訴訟が起きれば、勝敗に関わらず医師の負担は大きいものがありますので、これを回避したいという医師の気持ちも理解できます。

しかし、当会が様々な医療機関とのやり取りの中で実感としてあるのが、「医療機関が負わなくてもよい責任を(あえて)負っている」ということです。

 

例えば運転評価の結果についての患者とのやり取りの中で、「運転できますよ」という言い方をしていませんか?

「運転できる」という言い方をしたならば、患者は「自分は安全に運転できる」と解釈します。

こういう言葉をかけてあげれば、患者さんの希望を実現できた医療機関も患者もともに喜ぶ笑顔が浮かびますが、このような言い方は誤解を生み、「まさに民事訴訟のリスク」です。

さらに「安全に運転できますよ」などと言ってしまったら、事故が起きた時に医師は責任を持ちます。と言っているのに等しいです。

いずれにせよ、医療機関は、「わざわざ負う必要のない責任を自ら背負っている」と言っても過言ではありません。

特に運転支援を一生懸命に取り組んでいる医療機関ほど、このような言い方をします。

 

では、患者に対してどのような言葉をかけるべきなのか?

それは道路交通法に書いてある通りです。

通常の医療において、その基盤となる法制度に医師法や診療報酬制度があるように、運転に関する診断書作成の一連の手続きは、道路交通法が基盤となっています。

道路交通法を理解せずに運転評価を行うことは、医師法を理解せずに医療行為を行うことと同義であると当会は考えています。

 

運転リハフォーラムに参加された方にはすでにご存じのことと思います。

6時間の講義の中で何度も何度も出てきた言葉「運転できる」と「免許更新できる」を切り分けて考える。ということです。

この答えを知るだけでも、研修会に参加する価値があると思います。

 

 

by 理事長

2019年02月24日

2019年を迎えて...

 理事長の佐藤でございます。

新年あけましておめでとうございます。今年は2年に一度に行われる道路交通法の改正の年であり、年末に改正の試案が公開され、現在パブリックコメントの募集が行われています。

懸案であった高齢ドライバーの事故対策は今回見送られたようで、試案には含まれていませんでした。

現在警察庁では、高齢ドライバーの事故対策として、新しい視野検査(既存の横方向だけでなく上下方向も検査する)の導入や、MCIの方々への対応について議論が進められています。

MCIの方への対応の一つとして、実車試験と新たな限定免許(時間や場所車種などを限定した限定免許証の発行)を検討しています。

今回の改正には含まれませんでしたが、近い将来これらのいずれかの制度が導入されるのではないと考えています。

特に医療関係者にとって、限定免許の導入は大きな影響を与えるだろうと考えられます。

例えば、これまで運転可否の境界に存在する患者などに対して、地域や時間帯、車種を限定すれば免許更新が可能となることが予想されるからです。

では、どのような条件を患者が満たしていれば、限定免許可の判断ができるのか?このような判断は医学の範疇を超える内容であり、医療の混乱はさらに深まるのではないかと危惧しています。

日本のどこでも走ってよい状態の認知機能や身体障害の状態と、地域に限定すれば安全な運転が可能なそれぞれの状態を医学的に評価判断するなど、世界中を探しても誰にもわからないのは自明です。

 

さて、今回の法改正試案では自動運転車に関する内容が入っていますが、自動運転車が自動運転機能を解除した状態で走行することを、つまり自動運転車を人間が運転する状態ですが、このような運転を一部の報道で「手動運転」と呼んでいます。これは、両下肢障害の方が手動装置を使って運転する呼び名「手動運転」と同一で、大変紛らわしく、また誤解を与えかねないと考えています」。試案の中には明確な文言が記載されていませんので、今後、「手動運転」ではない別の言葉を警察庁が自ら考えてほしいと要望しています。

 

参考までにパブリックコメントの募集ページをご紹介いたします。国民であればどなたでも意見を言えます。1月23日まで意見を募集しています。

https://www.npa.go.jp/news/consultation/index.html

 

by 理事長

2019年01月01日

身障ドライバーの高齢化

 理事長の佐藤でございます。

近年、高齢ドライバーの交通事故が大きな社会問題となっており、法改正を含めた様々な対策が実施され、さらに強化する方向性で検討されているようです。

身障ドライバーという観点からみると、健常なドライバーと同じように高齢化が進んでいます。

最近65歳以上の介護保険移行という問題が起こりましたが、65歳を超える障害者が生まれたのはここ1,2年の出来事と言われています。

これは、医療の発達などの恩恵を受けた障害者の第1世代が、ここ1,2年で65歳を迎えていることと関係があるかもしれません。

65歳以上の高齢でなおかつ身障のドライバーは今後増えてゆくことが考えられ、加齢によるハンデと身体障害によるハンデが重複したケースでの安全運転の可能性については、

わが国にとって、また世界的にみても、全くの未知の世界ともいえますが、少なくとも楽観的なイメージを抱くのは困難です。

 

 また、身障ドライバーの高齢化の他にも、高齢になってから身障ドライバーになるケースも増えているように感じます。

特に脳卒中など、比較的高齢になってから発症することが多い病気での運転再開では、高齢者が新たに身障ドライバーになるケースは多いのではないでしょうか?

これらの患者さん方に対して、若者と同様の運転再開を進めてよいものか?医療機関においては熟考することが必要ではと考えています。

また、加齢による筋力低下以外にも、入院等による筋力低下も十分考慮しなければなりません。

 

 高齢ドライバーの交通事故報道の中には、高齢ドライバーマークと身障ドライバーマークが一緒に貼られた事故車が写っている映像を散見します。

 

 身体障害や認知機能障害と加齢の重複。当会が最も注目しているテーマの一つです。

 

 

by 理事長

2018年12月27日

運転リハフォーラム四国を終えて...

 理事長の佐藤でございます。

週末に開催させて頂きました運転リハフォーラムin四国。

香川、高知、愛媛の3か所で実施いたしました。

天候にも恵まれ、貴重な休日であったかと思いますが、多くの方にご参加頂きました。

今回の研修会は、脳卒中後遺症がメインではありましたが、

知的障害や発達障害などの方々の運転についての質問もいただき、うれしい気持ちになりました。

知的障害については、実技よりも学科がネックになることが多く、その点をフォローすることが重要なのですが、わが国では中々進んでいないというのは残念な限りです。

また、発達障害のある人たちの免許取得というのは、日本では全く扱われたことがないのではないか?わたくし自身、発達障害の自動車運転というテーマについて、つい最近考え始めたというのが現状です。

そのような意味も含めて、運転リハフォーラムはとにかく多くの質問が参加者からあり、今まで気づいていなかったテーマを掘り起こす、私自身良い勉強の機会にもなっています。


ちなみに、知的障害については、過去には栃木県の自動車教習所が取り組んでいることを知っているのですが、現状ではどうなっているかわかりません。

その他徳島県の社協が、知的障碍者向けの免許取得のための塾のようなものを運営していましたが、こちらも現在も継続しているのかは残念なながら不明です。

 

なお、知的障害や発達障害にかかる、特別な免許制度はありませんので、健常者と同様の手順で教習を受けることが可能です。

 

参考までに、知的障害者向けの支援を行っていた徳島県の事例を紹介する番組がありますのでご紹介します。(YouTube)

 

by 理事長

2018年11月26日

[注意喚起]医療機関での診断書作成に関するトラブル情報

 理事長の佐藤でございます。

猛暑が終わった9月以降、運転再開や新規免許取得に関する相談が急速に増えています。

すがすがしい秋空の下、誰もが外出したいと思う季節だからなのかもしれません。

 

さて、今年から全国展開している運転リハフォーラムの中でもテーマの一つになっておりますが、

運転再開を希望する患者から相談を受けた場合の医療機関の役割について、

間違った認識が広まっていますので、改めてご説明します。

患者からの相談があった場合の医療機関ができる最初の助言は1点のみ。

「免許センターへ電話をして相談してください」です。

なぜなら、診断書提出の必要性についての決定権は免許センターにあり、医療機関にはありません。

その患者が診断書提出を求められることが明らかであるとわかっている症状であったとしても、医療機関の判断で診断書作成のための評価を独断で行うことは、道路交通法で認められていません。

このような間違った順序で運転評価を行うことで、様々なトラブルが発生し、当会にも、また警察庁等へも相談や抗議が寄せられています。

一定の症状を呈する病気等についての一連の運転免許手続きは、「道路交通法上の運転免許事務手続き」の一環として行われます。

事務手続きである以上、大切なことは内容もさておき、手続きの順番です。

この順番を間違ったことで、運転できるはずの患者の免許が取り消されたり、運転ができない状態の方が免許更新出来たり、さらには患者と医療機関の間で裁判も起きています。

 

患者から運転についての相談を受けたら、

まずは「免許センターへ相談してください」と助言してあげましょう。

 

もっと詳しく知りたいという方は、運転リハフォーラムでお会いしましょう。

 

では~

 

by 理事長

2018年10月28日

ウィンカー移設などの電子系機器の移設について

 理事長の佐藤でございます。

両下肢に障害がある方が使用する手動式の補助装置。

この装置を使う際には、ウィンカーやホーン、ライト、ワイパーなどのスイッチを、手動レバーに移設する必要があります。

片手で常にハンドルを握っている状態ですので、上記のスイッチを運転中に操作するのはかなり厳しいのです。

特に、健常な時代から片手運転をしていた方以外の人たち(初心ドライバーや女性、運転頻度が少なかった方等)にとっては、片手でハンドル操作をすること自体に慣れていませんので、さらにさまざまなスイッチを運転中に操作するのは、注意力が散漫になったり、スイッチの操作に気を取られたりと、安全な運転を阻害する要因になります。

 

しかし、現在、一部の補助装置メーカーでは、これらのスイッチの移設を行えないというところがあるようです。

近年電子化した自動車制御の影響で、簡単な配線変更でスイッチを移設できなくなってきています。

それならばDIYで、という器用な方もいらっしゃるかもしれませんが、お勧めしません。

スイッチはおろか、エンジンすらかからないトラブルに見舞われます。

 

スイッチ類の改造を断られたら、他のメーカーに相談してみましょう。

ケースによっては対応してくれます。

こういうケースでは、自動車販売店に相談するよりも装置メーカーに直接相談するほうが得策です。

なお、特に輸入車の場合は、スイッチ移設や増設などはできないケースがほとんどです。

今後、各装置メーカーのご努力で、スイッチ移設が可能となるよう願っています。

 

これまで手動レバーのスイッチを使っていた方の場合、車両の買い替えに伴って、スイッチ改造ができなくなってしまうと、運転がしにくくなると訴える方が多数のようですので、

車両の買い替えの際は、十分な車種選択が重要です。

 

また、一部の装置メーカーやその代理店では、障害者はウィンカー操作を免除されているから大丈夫、と言ったりするそうですが、そんな法律はありません。注意しましょう。

写真はフジオートホームページより

 

by 理事長

2018年09月10日

[注意喚起情報]

 理事長の佐藤でございます。

ここ1年ほど、脱着式手動式装置に関するトラブル相談が多発しています。利用者の方へ注意喚起いたします。

走行中に装置が外れる。
簡易に脱着できることから、走行中に外れてしまうトラブル相談が来ています。特に足元のペダルとの接合は、足元に潜り込むようにして取り付けなくてはならず、両下肢障碍者には厳しい姿勢保持が必要で、強固な固定ができないことがあるようです。なお、装置の取り付けに関するトラブルなどが発生した場合は、速やかに消費者センターへ相談しましょう。
座席からの転倒
ハンドルコラム部分に吊り下げて固定する構造のため、一般的な手動運転装置のように、座位保持のための手すりの役目を果たせません。障害の程度や運転歴など十分に考慮して使用する必要があります。
免許取得不能という誤解
「地元の教習所に行ったら脱着式の運転装置で運転するよう指導を受けたが、うまく運転できなかったところ、運転免許を取ることはできない」と助言を受けた。など自動車教習所に通う複数の方から相談が来ています。脱着式は廉価な機器であると同時に、個々の障害に合わせることができない難点を持っています。障害の状態によっては、既存の固定式装置で十分免許取得可能なケースがあります。この相談をされた複数の方も、他の教習所へ移って立派に免許取得を果たしています。脱着式で運転できない方=免許取得不能、というのは誤解ですので、そのような助言はしないよう、自動車教習所に要請します。

 

 

by 理事長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年09月08日

日本リハビリテーション工学協会カンファレンスにて発表

 理事長の佐藤でございます。

8月29日~31日まで、神奈川県厚木市で行われた日本リハビリテーション工学協会のカンファレンスにて、2点の論文発表を行いました。

このカンファレンスには、2年ほど前に福祉機器コンテストに出品した経験がありまして、その時に出品した「自動車用座位保持クッションユニバケ」が優秀賞を頂いたこともあります。

今回は、「身障ドライバー用レース車両の開発」と「脳卒中後遺症の運転再開における運転補助装置等の工学的アプローチの必要性」という2題を発表してきました。

わたくしのような、アカデミズムとは無縁の人間にとって、このような発表を経験できることは、大変勉強になります。

論文の内容は年末に本サイト上で公開する予定です。

 

 

by 理事長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年09月01日

追記)言語・聴覚などのコミュニケーション障害と救護義務

 理事長の佐藤でございます。

本日の東京新聞に、警察庁が音声を用いない110番通報用のシステムを導入する、と記事が出ていました。

当会では、聴覚障害者の2種免許取得が解禁された時点から、継続的に音声が不要な通報システムを、早期に導入するよう、国会等を通じて働きかけを行ってきました。

結果として、導入が決まったことは、自動車運転に留まらず、聴覚や言語の障害のある人たちの安全な暮らしに貢献するだろうと思います。

警視庁と大阪府警では、数年前からスマホアプリを使った、チャット形式の通信アプリを運用しており、

今回のシステムも同様のものになるではと想像できます。

実際の導入までは数年かかるとは思いますが、導入が待ち遠しい気持ちでいます。

 

導入までの期間は、これまで通り、メールによる通報が重要です。警察管轄エリアごとに個別の事前登録が必要であるなど、面倒な手続きになりますが、言語や聴覚の障害をお持ちのドライバーは、必ず登録することが大切であり、運転者の責任です。

 

by 理事長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年08月21日

言語・聴覚などのコミュニケーション障害と救護義務

 理事長の佐藤でございます。

稀ではありますが、一部の医療機関で、脳卒中後遺症などによる言語障害のある方の、自動車運転の可否評価において、自動車運転者に課せられている「救護義務」が遂行できないという理由で、運転不可の診断をする事例があるようです。

救護義務とは、全てのドライバーに対して課せられている法的義務で、事故発生時にけが人などが発生している場合には、けが人を救護し、2次被害が発生しないように、現場付近の交通を整理する、などが該当するといわれていますが、最低限、警察や消防に通報することを満たせれば、救護義務違反に問われることはないというのが警察庁の見解です。

救護義務違反が問われる多くのケースが、いわゆる「ひき逃げ」の場合であり、コミュニケーション障害が、直接救護義務違反に問われることはないないといわれています。

 

では、言語障害や聴覚障害で、声による電話での通報ができない場合に、どのような通報手段があるかといいますと、都道府県警によって対応が異なりますが、まずは専用メールアドレス宛にメールで通報する方法があります。そのほかには、チャットや専用通報アプリ(警視庁・大阪府警)などでの通報手段が用意されています。

これらは元々、聴覚障害向けのサービスでしたが、声のやり取りに難のある言語障害のある方々にも利用可能です。

このように、言語障害や聴覚障害があっても、警察や消防に通報する手段は用意されており「電話での音声通話ができない」という理由だけで運転不可の判断を行うことは間違っていますのでご注意ください。

 

このような患者に対しては、運転するにあたっては、地元の警察に問い合わせて通報手段を確認して、万が一の事故が発生した時には迅速に通報できるよう準備することを助言してあげてください。

ほとんどの都道府県警察では、事前の登録が必要になっており、登録すると、専用メールアドレスやアプリのダウンロード方法などを提供してくれる、という手続きになっています。

事故が起きてから手続きなど出来ませんので、必ず事前に登録することが大切ですし、ぜひ医療機関からも患者へ情報提供をして欲しいと当会は希望しています。

なお、車で遠隔地で移動する場合は、それぞれ通過する都道府県に対して個別に登録する必要があり、かなり面倒であり現実的な手続きではありません。近年、聴覚障害者の2種免許取得が解禁されたこともあり、当会では、全国統一で運用可能なコミュニケーション障害への通報体制の確立を、国会を通じて警察庁に要請しています。

 

by 理事長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年07月22日

運転リハフォーラム北海道を終えて

 理事長の佐藤でございます。

先週の土、日、月の3日間。北海道の帯広、札幌、そして函館の3会場で、運転リハフォーラム北海道を開催させて頂きました。

3日間で60数名の医療職の皆様と教習指導員の皆様にお集まりいただきました。

貴重な3連休を浪費させては申し訳ないと思いながら、自分なりに精一杯のお話をさせて頂きました。

すでに当会が主催する各種の勉強会には全国で1500名超の医療職の皆様にご参加頂いております。

今年初頭の東北3県、そして今回の北海道と、病院数などを勘案すれば行くことを躊躇せざるを得ないエリアではありますが、

そのような地域だからこそ、運転の需要は高く、途方に暮れている患者と病院に対して、少しでもお役に立てればという想いのみで決行した次第です。

しかしながら予想以上の人数の皆様にご参加頂き、なんとか交通費と会場費を賄うことができました。ありがとうございました。

 

さて、帯広会場でもお話しさせて頂きましたが、今の医療機関は運転リハに関して、

「どこから来て、今はどこなのか?そしてどこへ行けばいいのか?わからない、砂漠の真ん中で立ち尽くす迷い人」のように映ります。

どこから手を付ければよいか、皆目見当もつかないという姿です。

そんな時、何が手掛かりなるでしょうか?私は歴史、つまり足跡を頼りにするほかない、と感じています。

運転リハにとって「足跡」とは何なのか?

それは、昭和35年以降、数えきれない障害者が自動車運転を通じて経験してきた歴史といえます。

歴史=足跡を振り返ることで、今の自分がどこから来て、どこへ行けばよいのか?少なくともどちらが前でどちらが後ろなのかはわかります。

ここから先のお話は、帯広、札幌、函館のすべての会場でお話した通りです。

誰が運転ができて、誰が運転できないのか?についての基準とは、現時点だけを切り取っても、発見することはできません。

「時間=歴史」という要素が不可欠です。

例えば高血圧の基準値は、現在だけを切り取っても基準は見つからないでしょう。歴史的な時間軸の中で、この血圧の方は病気になり、この血圧ならば健康を維持できた、という経験を知らなければならないのと同じです。

それがわからなければ、基準とは名ばかりで、有名無実なものでしかありません。

私が運転リハフォーラムで医療職ほかの皆様に伝えたいことは、このことに尽きます。

これまでの約60年間に、障害者はどのようにして運転をしてきたのか?どのように安全を確保してきたのか?どんな豊かな人生を運転を通じて手に入れ、同時に最悪の不幸を経験してきたのか?また、どのように運転という価値を維持してきたのか?

私は北海道の3日間を通じて、皆さんにお伝えしたかったことはこのことですし、それは現代において私にしか話すことができない内容です。

 

運転リハフォーラム北海道にご参加頂いた方の中から、本当の意味での運転支援の方法を見つけて下さることを切に願っております。

 

by 理事長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年07月18日

続報]免許センターの電話がつながらない件,その後

 理事長の佐藤でございます。

 

前回のブログで、免許センターの代表電話が混雑のため繋がりにくくなっている件についてお話ししましたが、

6月13日付の警察庁の通達で、その改善に取り組むよう全国の関係個所へ通知がなされました。

内容を読んでみると、一定の進捗は認められますが、

繋がりにくさが大きいので、効果が表れるのは少しずつではないか?と感じました。

しかし、このような件について、警察庁が問題意識を共有してくださり、対策に乗り出すことは大変ありがたいことではあります。

当会でも、再三この件についての要望を出しておりました。

私たちの声が直接行政を動かすことはありませんが、

声を上げることの重要性は、やはり高いと思います。

 

私たちはこれからも、身障者や高齢者をメインに、安全な自動車運転と公平な免許行政の実現に向けて、皆様からの声を届けてゆきたいと思っています。

 

本件の通達については下のボタンからご覧いただけます。

 

 

by 理事長

 

 

 

 

 

 

 

2018年06月16日

免許センターの電話がつながらない件

 理事長の佐藤でございます。

 今回は免許センター(免許試験場)の電話がつながりにくい件について、お話ししたいと思います。

病気や障害で運転不安がある場合の相談や、臨時適性検査の予約などで、免許センターに電話をかけた経験がある方なら、とにかく電話がつながらないことにイライラしたことがあるのではないでしょうか?

これは、近年行われた高齢ドライバーの法改正の影響などで、免許センターへの問い合わせが増えているためと言われています。

実際に、警察庁の方にお話を伺うと、この現象は全国的なものであり、特に都市部の免許センターではひどい状態であることを認識されています。

都市部、当会が所在する東京都の場合、丸1日電話をし続けたが、結局つながらかったと、当会に相談される方もいらっしゃいます。

先日愛知の免許センターの方とお話ししましたが、やはり東京と変わらない状況だそうです。

当会では、先日、国会議員らと一緒に、この件について改善を促す要望を出したところです。

あまりにつながらい状況が続くと、本来適正検査が必要な方に対して適切な説明をする機会を失いますし、適性検査対象者の捕捉という、免許センターの大事や役割が果たせないのです。

当会には「この電話番号はそもそも間違った番号なのではないか?」と番号を問い合わせてくるケースもあります。

対応策として、①音声ガイダンス等で説明したうえで、順番につながるまでお待ちいただく。などのシステムの導入や、②免許センター以外で「適正相談」を受けられるような体制づくり。を提案しています。

 

なお、適正相談であれば最寄りの警察署でもある程度対応してくださいますが、最終的には免許センターへ電話をして、適正相談をしないといけないのは同じです。

 

電話がつながらいことと同時に、臨時適性検査の予約も、すぐには取れない状況が続いています。

東京では、予約しても3か月後。という状況もあるようです。

免許には更新期限がありますので、早めの相談や予約が大切です。

 

 

by 理事長

 

 

 

 

 

 

 

2018年06月07日

日産リーフ新型は左アクセルドライバーを救うか?

 理事長の佐藤でございます。

右下肢に障害があるドライバーの場合、麻痺や可動域・筋力などを勘案して、「左アクセル装置等限定」の免許条件が付された上で、運転免許が交付されることがあります。

ただ、左アクセル装置でのアクセル操作は難易度が高く、そう簡単に以前のように運転できることはありません。

当会のドライビングレッスンでも、脳卒中後遺症による右片麻痺の方からのお申し込みは多くいただいています。

実際にレッスンを行ってみると、初回レッスン120分間中で、少なくとも1回はペダルの踏み間違いを起こします。

レッスンを受けた方の中には、受講前に自分一人で運転してみたところ、ペダル操作が上手くできずに、衝突事故で全損。という方も何人かいらっしゃいました。

こういう方の多くが、「左アクセル装置の操作は難しい」ということを知らなかった。また誰からも教えてもらわなかった、と言っています。

 

左アクセル装置への慣れは、例えれば「右利きの方が、左手で箸を以前と同じように使う」ことに似ています。

要するにそう簡単に会得できるものではなく、年齢が上がったり、右麻痺+認知機能の低下などが重複しているドライバーは、慣熟にはさらに困難が伴います。

以前に運転された経験のある方ならお分かりかと思いますが、ペダル操作は無意識に出来て当然です。

左アクセルに慣れない期間は、常に足、そしてペダル操作に意識を向けていなければ運転できません。

この状態で運転できたとしても、ペダルに意識が向いてしまうことで、今度は運転に必要な注意力がそがれてしまうリスクが増えます。

たとえば、信号や歩行者、併走する車やバイクなどへの注意が疎かになってしまう方はレッスンをしていても少なくありません。

 

このようにかなり難易度が高い左アクセルですが、日産自動車が先日発売した新型リーフには、アクセルペダルだけでスタートから停止まで制御できる「e-ペダル」という機構が装備されています。

このe-ペダルならば、アクセルとブレーキの踏み換えが不要になりますので、左アクセルに改造しても、踏み間違いなどのミスを防ぐ効果が高いと考えています。

先日、実際に新型リーフを試乗してきましたが、通常の一般公道での走行なら、ブレーキペダルは踏む必要がありませんでした。

しかも、e-ペダルへの操作上の違和感(使いづらい)がなく、だれでも即座に操作可能です。

もし、これから左アクセルでの運転をスタートさせようと考えている。すでに運転をしているが車の買い替えを考えているようでしたら、その選択肢に是非新型リーフを入れてほしいと思っています。

なお、購入に当たっては何点か注意事項があります。

 

① e-ペダルは新型リーフ以外にも他の車種にも装着されているそうですが、必ず新型リーフを選択してほしいです。(e-ペダルの名前は同じでも、他の車種では仕様が違うようです。

 

② 新型リーフには「*1サポカー」の設定があります。サポカーにはさまざまな種類がありますので「サポカーSワイド」を選択しましょう。


③ 新型リーフは電気自動車です。

 

④ 高齢者の場合、車種を変更すると新しい車の運転に慣れることが出来ないケースがありますので、買い替えはお勧めしません。


  *1 サポカーとは、自動ブレーキや車線逸脱警報などの先進安全技術が搭載されている自動車です。

 

by 理事長

 

 

 

 

 

 

 

2018年06月03日

日本安全運転医療研究会での発表原稿

 理事長の佐藤でございます。

第2回日本安全運転医療研究会で発表を行いました。テーマはドライビングレッスン事業の紹介でした。

当日、運営のミスで動画をうまく再生することができず、発表の制限時間内に、全ての内容をご聴講の皆様にお伝えすることができませんでした。

大変残念な想いを持っておりまして、ご聴講の皆様におかれましても、よく理解できなかったのではないか?と危惧しています。

そこで、当日の予定原稿をPDFで公開いたします。

パワポ資料は、非公開とさせて頂き、原稿のみで恐縮ではございますが、ご興味のある方に、是非お読みいただければと思っています。

なお、本原稿は、予告なく削除することがありますことと、転載、無断引用はご遠慮頂きますことをご了承ください。

ご不明な点や、さらに詳細をお知りになりたい方等、いらっしゃいましたらご遠慮なくお問い合わせください。

また、動画部分の詳細について検討する勉強会を2月中旬に東北3県で行います。こちらもご興味がございましたら是非ご参加ください。

 

病気や障害のある方の安全な自動車運転にご興味を頂き、また日々実現へ向けて取り組まれている全ての医療従事者、教習所指導員、その他ご関係者に、心からの敬意を表します。


発表資料PDF

 

 

2018年01月21日

運転リハを担うのは誰なのか?

 当会が主催した「運転リハフォーラム2017」が無事に終了し、全国各地から約80名の医療従事者、教習所指導員、行政機関スタッフの方々にご参加いただきました。ご参加くださった皆様へはご遠方より大変なご足労をお掛けしつつお集まり頂きましたことへ、心からお礼を申し上げます。会場でご案内させて頂きました通り、この勉強会の参加費は全額来年開始予定のシミュレータシェア事業へ充当させて頂きます。

 さて、このフォーラムに向けて、4時間分の資料作りに取り組んだ8月でしたが、資料を作りながら個人的に考えたことがあります。それは、運転リハは本来どこが担うべきなのか?です。運転リハと一口に言っても、障害の部位や程度、病気の種類それぞれへの個別対応、能力評価や運転訓練など、患者さんの安全運転を実現しようとすれば、とてつもない仕事量、設備、体制が必要です。これまで、運転リハを担ってきたのは都道府県の公立リハセンターでした。今でも肢体不自由がメインになると思いますが、その役割を果たされています。しかし、医療点数等の制度の改悪や、患者の増大、免許制度の変更などによって、医療機関が担わなければならない仕事量とそれぞれのファクトごとの専門性、施設などなど、一医療機関が行うのは現実的に不可能ではないか?こう感じているところです。

 運転免許どころか、ADLすら完全に達成することが出来ずに退院を余儀なくされる患者さんも多いと噂ではありますが聞くこともある今の医療、リハビリの国レベルでの体制は、限界にきているのではないか?そんな状況の中で懸命に患者さんのことを想いつつ仕事に没頭されている医療従事者の皆さんに対して、運転リハまで押し付けるのは困難ではないのか、と感じています。

 そこで、それならば、医療機関に代わって担えるところはどこなのか?と自問してみますが、思いつく策は今のところありません。ただ、ヒントとなりうるアイデアはいくつか頭の中にあります。まずは、医療機関とは少々異なりますが近年増えて来た民間のリハビリ施設です。自費診療という事のようですが、リハビリにおいて病院では手の届かない部分を埋めてくれる存在ではあるようです。こういった施設が、退院後に運転リハの役割の一部を担うことの可能性はあるのじゃないか。と考えています。そして、次に運転補助装置のメーカーです。装置を作り販売するメーカーですから、装置の使い方を教えたり練習の場を提供することはある意味で企業の義務ではないか、と考えていますが、現在、そのような取り組みを具体的に行っている企業はありません。障害者が免許を取れるようになった昭和35年ころには、装置メーカーが教習施設を併設していたことがあると聞いています。そのような体制が今後新たに出来上がれば、医療機関の負担も減り、より安全な自動車運転を患者に提供できるのではないか、と考えていますし、メーカーには期待をしています。次に自動車販売店の役割です。販売店はこれまで自動車を販売することのみを仕事にしてきましたが、昨今の高齢ドライバー問題もあり、今後は安全運転を提供できる付加価値を自動車販売店がどう提供できるか?が社会的に問われてゆくのではないかと考えています。

 聞いた話ですが、かなり昔のことですが、東京都内の免許センター周辺に、免許センターへ提出する診断書作成のためだけの病院があったそうです。今は無いそうですが、そういった病院も近々再来するかもしれません。

 いくつかのアイデアを書きましたが、すぐにどうなるというものではないので、現在困っている医療従事者の方や患者さんにはあまり役立つ情報ではないと思いますが、個々の医療機関や医療従事者の取り組みと同時に、大きな枠組みでの体制の構築が必須なのではないか。そのために当会は何が出来るのか?資料を作りながらそんなことを考えていました。

 

2017年09月02日

ドライビングレッスン事業の意義

当会が行っている当事者向けの支援事業に「ドライビングレッスン事業」があります。

病気や障害を負った後に運転を再開したいけれど、運転に不安があるという方を対象に、ご自身の自家用車を使ってレッスンをするサービスです。

健常な方であれば、出張教習や教習所のペーパードライバー教習などを受けることが出来ますが、障害があると断られてしまうことがほとんどです。

そこで、当会では断られてしまうような方を対象に、レッスンをお引き受けしています。

 

具体的には、障害者用の補助装置を初めて使う方や、高次脳機能障害等の認知機能障害の方が参加者のほとんどを占めています。

まだ事業を開始して1年ほどですが20数名の方がレッスンを受けて下さいました。

このレッスンは、免許センターの臨時適性検査に合格したのちに行います。

医療機関などから運転能力評価目的でレッスンをしてほしいというご要望がありますが、法律的にも公道を走るのは微妙ですので、残寝ながらお引き受けしていません。

 

さて、このレッスンはわたくし理事長が専任で行っていまして、20数名の全ての方の助手席に座っています。

20数名のほぼ全員が、脳卒中等の後遺症をお持ちの方で、片麻痺と高次脳機能障害のある方です。

 

この事業の経験から、認知機能障害のある方が、安全な運転を実現するために、運転の練習は不可欠であると確信しています。

医療機関が正しい能力評価を行ったとしても、その方が安全に運転できるかどうかは、その後の練習とアドバイスにかかっていると思っています。

 

私たちの会に当事者から事故の相談があります。はっきりした統計はなく、あくまで印象でしかありませんが、

病気や障害で臨時適性検査を行った多くのドライバーが、運転再開直後に事故(規模の大小はあると思います)を起こしている印象を抱いています。

そして、そのような事故の様子を当事者から伺っていると、事前の練習や適切なアドバイスがあれば防げたのではないか?というケースが多いのです。

特に左アクセル装置を使うケースや認知機能の障害や低下があるケースでは多いと感じます。

これらの方も医師の診断書を免許センターへ提出された、適正な手続きが完了している方々です。

 

医療機関が病院外の運転という作業に直接関与することはとてもできない相談だと思います。

運転可の診断はでたけれど、「この患者さんは本当に安全な運転が出来るだろうか?」と不安をお持ちの医療従事者は大勢おります。

そんなケースがありましたら、是非当会のドライビングレッスン事業を患者様にご紹介頂ければと願っています。

また、遠方で中々行くことが難しい地域の場合であれば、当会が発行している「自動車運転ガイドブック」を患者さんに渡して、安全な運転のための留意点などを、知ってい頂くよう、院内でご検討頂ければと思っています。

 

 

 

 

 

2017年07月31日

ブログをはじめます

日本身障運転者支援機構の佐藤です。スマホとPCの両方で最適化するホームページへ移行した記念に、これから不定期ですが病気や障害のある方の自動車運転をテーマにした、ブログを書いてゆこうと思います。このブログの内容はあくまで私見ですので、会の活動の方向性と必ずしもリンクしないこともありますのでご容赦ください。

2017年05月08日

認知症診断費用の助成制度

3月に改正された道路交通法では、75歳以上のドライバーが認知症の有無について診断書提出命令を受ける方の急増が想定されていますが、

厚労省は当初その診断費用は自費診療となると見解を示していました。

しかし、施行直前に日本医師会等の働きかけによって、通常の保険診療の対象となる旨を発表しました。

保険診療となること自体は歓迎されるべきことですが、問題なのは、診断書提出命令を受ける人が実際に認知症であると診断される割合は約30%。

7割の人は、「認知症でない」という診断を受けるために診療を受けなければなりません。

一般的に認知症の診断は1~2万円の医療費自己負担で受診可能だそうですが、免許更新のための追加費用となってしまうことに変わりはありません。

群馬県では、「認知症の早期発見早期治療」という医学的・社会福祉的な発想を利用して、診断書提出命令に係る診断費用(医療費)を助成する制度を始めるそうです。

このような制度が全国各地で展開されることを私たちは望んでいます。

http://www.asahi.com/articles/ASK2D15GGK2CUHNB00J.html 朝日新聞デジタル2017年2月15日記事

 

2017年05月06日