言語・聴覚などのコミュニケーション障害と救護義務

 理事長の佐藤でございます。

稀ではありますが、一部の医療機関で、脳卒中後遺症などによる言語障害のある方の、自動車運転の可否評価において、自動車運転者に課せられている「救護義務」が遂行できないという理由で、運転不可の診断をする事例があるようです。

救護義務とは、全てのドライバーに対して課せられている法的義務で、事故発生時にけが人などが発生している場合には、けが人を救護し、2次被害が発生しないように、現場付近の交通を整理する、などが該当するといわれていますが、最低限、警察や消防に通報することを満たせれば、救護義務違反に問われることはないというのが警察庁の見解です。

救護義務違反が問われる多くのケースが、いわゆる「ひき逃げ」の場合であり、コミュニケーション障害が、直接救護義務違反に問われることはないないといわれています。

 

では、言語障害や聴覚障害で、声による電話での通報ができない場合に、どのような通報手段があるかといいますと、都道府県警によって対応が異なりますが、まずは専用メールアドレス宛にメールで通報する方法があります。そのほかには、チャットや専用通報アプリ(警視庁・大阪府警)などでの通報手段が用意されています。

これらは元々、聴覚障害向けのサービスでしたが、声のやり取りに難のある言語障害のある方々にも利用可能です。

このように、言語障害や聴覚障害があっても、警察や消防に通報する手段は用意されており「電話での音声通話ができない」という理由だけで運転不可の判断を行うことは間違っていますのでご注意ください。

 

このような患者に対しては、運転するにあたっては、地元の警察に問い合わせて通報手段を確認して、万が一の事故が発生した時には迅速に通報できるよう準備することを助言してあげてください。

ほとんどの都道府県警察では、事前の登録が必要になっており、登録すると、専用メールアドレスやアプリのダウンロード方法などを提供してくれる、という手続きになっています。

事故が起きてから手続きなど出来ませんので、必ず事前に登録することが大切ですし、ぜひ医療機関からも患者へ情報提供をして欲しいと当会は希望しています。

なお、車で遠隔地で移動する場合は、それぞれ通過する都道府県に対して個別に登録する必要があり、かなり面倒であり現実的な手続きではありません。近年、聴覚障害者の2種免許取得が解禁されたこともあり、当会では、全国統一で運用可能なコミュニケーション障害への通報体制の確立を、国会を通じて警察庁に要請しています。

 

by 理事長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年07月22日