■教習所で行き詰まる
教習所へ通い始めたけれどうまく運転できずに困った。このような相談は当会にも寄せられます。そんなときにはどうしたらいいでしょう?
- 教習車を上手く運転できない
- 実技教習で自動車をうまく運転できない理由にはいくつかあります。
- 1座位が不安定
- 身体障害の部位や程度によっては、運転中に座位を維持するのが難しい人がいます。おおよそ車いすを使う人や杖を使う人は、ほぼ全員が対象です。もちろん慣れてゆくのが一番の早道ですが、どうしても座位が不安定になるという方は、このページを参考にしてください
- 2運転補助装置が自分に合わない
- 特に簡易的な手動式装置で多く発生します。多くの教習所でこの簡易的な手動装置を使って教習を行っていますが、この装置を使って車いすの人が合格するのは至難の業でしょう。出来れば教習所を選ぶ際に、その教習所がどんな装置を使っているのか確認した方がよいでしょう。入所後に自分に合わない事が分かっても手遅れです。手動式以外にも左アクセルも個人の相性があります。
- 3指導員の経験不足
- 手動式や左アクセルが付いた教習車を持っていても、指導員に指導経験が無ければ、教習は上手くいきません。入所前に確認が必要です。
- 教習車の改造が不適切
- 障害のある人が運転する場合、その障害に合った様々な補助機器が必要になります。例えばウィンカーやライト等のスイッチが運転中にキチンと操作できるか?そのようなことまで行き届いている教習所を探すべきです。このようなことも理解していない教習所に行ったら大変なことになるでしょう。
- そもそも乗り降りが出来ない
- ほとんどの教習所で自動車への乗降について指導してくれるところはありません。自動車を運転したいなら、まずは自力で乗り降りできるよう訓練を行いましょう。このような件については理学療法士が相談にのってくれます。
教習車の準備
教習所によっては、入所希望の当事者に対して教習車両を準備するよう言われることがあります。この場合、教習所へ入所する前に自動車を買って改造することが必要になります。免許が取れた後に乗る自動車で構いませんが、教習車には様々な条件があります。どんな車でも教習車にはなるわけではありません。入所前に教習車を用意しなければならない場合には、教習所や自動車販売店、また運転補助装置メーカーなどと十分な調整が大切です。
■卒業できなかった場合の車の処分
障害児者が新規で免許を取得するには様々なハードルがあるのは事実です。無事に教習を受けるところまで進むことが出来たとして、全ての方が免許を取得できるとは限りません。もし、卒業することが出来ず、事前に購入した車が不要になってしまった場合、転売や下取りはかなり難しい、ということを覚えておいてください。特に車体に穴をあける改造が伴うような装置を取り付けた場合、その装置を取り外しても穴は残ってしまいますので、事故車扱いや下取り不能と扱われることがあります。こうなると残るのは車のローンだけになってしまいます。稀に自動車購入店への返品を要求するケースがあると聞いていますが、それは不可能だと思います。
■進行性の病気の場合
筋力が低下してゆく病気等の場合、免許取得から年が経つにつれて、運転に支障が出る程度まで筋力が落ちてゆくことがあります。運転に不安を感じたり、筋力が落ちてきたなどの自覚を持つことは、安全な運転を継続させるためには重要な要素になります。主治医がいる場合は主治医に相談したり、免許センターの安全運転相談窓口#8080に電話をして相談に乗ってもらいましょう。