医療事業者向けの改正障害者差別解消法ガイドライン

ご存じですか?改正障害者差別解消法
2024年に施行された改正障害者差別解消法によって、合理的配慮が義務化されました。
厚労省は、この改正を契機に、医療機関向けの「ガイドライン」を改訂し、最新版を公表しています。
医療機関やその従事者は、誰よりも障害のある人たちと接する可能性や頻度が高い人たちですから、
ガイドラインなど読まなくても、差別などしていない。私は障害のある人に寄り添っているという自負をお持ちかもしれません。
しかし、その考えこそが、医療従事者が陥る最大の落とし穴なのです。
なぜそうなるのか?その理由は主に3つに集約できるでしょう。
①医療とはそもそも個人を評価しその高低差を計る。
現代の医療は、人間を様々な視点から測定(検査)し、標準値に対して高いのか低いのか?を評価することが、治療の開始点です。つまり現代医療には、避けきれない差別が存在します。人間を数値化し評価することがどんな差別につながるのでしょうか?それは、高い人は素晴らしく、低い人は素晴らしくない、という思想を増強させます。そして医療とは、素晴らしくない人を素晴らしい人へと変化させることが主な任務でもあります。また、誰が障害者か?誰が障害者ではないのか?を、決定する事実上の決定者でもあります。
②日本人だから
人権や自由、平等などの現代世界における最重要な価値は、そのすべてが明治以降日本に輸入されてきた概念であり、西欧思想(キリスト教的思想)そのものです。それに対して日本人の歴史、文化、宗教観は、根本的に西欧思想と異なります。人権思想の基盤である「個人」は、日本においては「集団対個人」という図式の中で「個人よりも集団を優先する」思想によって、私たちは無意識に個人の尊厳の優先順位を下げてしまいます。例えば「空気を読む」はまさに個人よりも集団を優先する思想そのものでしょう。このように私たちの心や無意識の世界に染み付いているのです。このことを自覚的に受け止めなければ、人権や差別にコミットすることはできません。
③病院における上下関係
医療機関で働く人たちは、医師、看護師、その他のメディカルスタッフ、事務スタッフなど、学歴と収入の高低差による強力なヒエラルキーが支配します。それ自体の善悪を問う前に、そのような場所で働くことで、スタッフ一人一人の心に、固定化される能力主義や上下関係で「他者を見てしまう」癖がついてしまうのです。そしてその癖は、仕事中にのみならず、日常の生活、つまり人生における他者との関係を侵食するのです。
このガイドラインには、医療機関でのお仕事の様々な場面で、今のやり方を変えるべきことが列挙されています。
是非読んで欲しいと思います。
なお、この件については 運転支援者研修 の中でも詳しく解説しています。
理事長 佐藤