福祉作業所にジュニアシート導入を

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知的障害や発達障害の方が働く福祉作業所。2023年度時点で全国に15,000施設があるといわれ、さらに増加中のようです。A型、B型共に、障害のある人たちのより豊かな人生を作ってゆく大切な施設です。そして近年、福祉作業所が利用者の送迎を行う事例が増えているそうです。ご家族としては自宅まで送り迎えしてくれる送迎は便利でしょう。必ずしも利用者が一人で通勤出来るとも限りません。

当会にも、B型福祉作業所での勤務経験のあるスタッフが複数名います。そして全員が送迎の経験を持っています。施設所有の自動車、多くがワンボックスタイプの自動車ですが、3~5人程度の利用者宅を巡回しながら迎えに行き、夕方になれば送ってゆく業務についています。

この送迎時において危惧する点があるかとスタッフたちに問いかけると、異口同音、「ジュニアシートの未装着」という回答が返ってきます。

特に知的障害がある利用者は、身体が小さいという特徴を持っているといわれています。もちろん全員がそうではありませんが、比較的低身長であることが多いです。

この低身長の方が自動車に乗った時、シートベルトをどうするか?これは施設やドライバーの責任として考えなければなりません。

例えば身長150cm未満の方が大人用のシートベルト装着すると事故時にどうなるか?

これは下の動画を見て頂ければお分かりかと思いますが、シートベルトが首を絞めて、頸部に重度な障害を与えることになります。

 

ジュニアシートというと、つい子供向けと考えがちですが、低身長の障害がある方は、ジュニアシートの装着が命を守る最後の砦になります。

そして、利用者の命を守ることが福祉作業所の最重要な責任であるならば、ジュニアシートを準備しておくことは、何よりも大切なことですし、親御さんが福祉作業所を選ぶとき、その施設がどのくらい自分の子供を大切にしてくれるのかの、バロメーターとして、ジュニアシート装着の有無を確認することは大切な要素になるでしょう。

統計がないので私の肌感覚ですが、福祉作業所の送迎時の自動車事故は、かなりの頻度で起きていると感じています。なぜなら、送迎とは事故の頻度が高い時間帯に行われるからです。そして、利用者がけがをしない限り親には報告しないし、利用者が親に報告することもできない。このような利用者の尊厳や生命を軽視する福祉作業所が存在することは間違いないのです。

あなたのご家族が通われている福祉作業所の送迎車を、一度よく観察してみましょう。

至る所にへこみや傷があるのではないでしょうか?

それはまさしく事故の痕跡です。

2025年08月01日