半側空間無視と運転可否判断

 理事長の佐藤でございます。

前回ブログと同じように、半側空間無視も、現在では一律で運転不可という判断を再検討する医療機関が増えているようです。

当然のことながら半側空間無視は欠格事項ではありませんので、一律で運転不可とすることは法の趣旨と異なっています。

また、医療機関も経験を重ねる中で、半側空間無視を一律で排除することに疑問を持ち始めているのだろうと感じます。

 

私が行うレッスンにも半側空間無視の方が何人もいらっしゃいますが、上手く運転する人もいるし、問題のある人もいますが、皆さん臨時適性検査を合格しています。

また、急性期には半側空間無視があると言われたが、退院時には回復している、と病院から言われた方もたくさんいらっしゃいます。

しかし、上記のケースの多くで、実際に公道を走ってみると半側空間無視特有の運転行動が現れることが多く、医学的には回復したと判断されていても、必ずしもそうではないというケースが間々あります。このようなケースでは、ご本人に対して運転は控えるよう言い、同時に病院に改めて相談しリハビリを行うよう助言を行っています。

 

半側空間無視特有の運転行動とは、普通の公道走行では現れないことの方が多いです。ではどのような場面で現れるのか?それは運転時間が長くなった時や、体調がすぐれないとき、雨天や夜間など、そして、かなり複雑なコース走行です。

運転時間が長くなった時というのは1時間を超える連続運転(教習所ではなく公道)を指します。疲れや集中力の低下などの影響があるかもしれません。

走行をスタートしていきなり左側の縁石にがりがりこすりつけながら走る人には会ったことがありません。大体皆さん1時間を超えてあたりから段々と運転が変わってゆくものです。

その日によって体調に波があるというのは、障害のある方共通の症状のようです。体調の悪い時に運転すると、半側空間無視だけでなく、様々な認知機能の低下が表面化することが多いです。

雨天や夜間などは、昼間よりもより集中して認知機能を発揮しなければなりませんし、複数の注意を同時に行うなど難易度が高く、このような状態では、やはり、平時には表れない隠れた認知機能障害が表面化することがあります。

 

半側空間無視の影響が現れる運転行動とは以下のようなものです。

①直進中であっても車線内で左右に蛇行して安定しない。

②車線左側に寄ったラインで走行する。(縁石に接触するなどはほとんどありません。ギリギリのタイミングでご本人は気付くようです)

③方向変換が上手にできない。

④車線左によって停車することが出来ない。車線を越えてしまう。

 

運転リハフォーラムでも、このような事例のビデオを皆さんに見て頂いており、すでに参加された方はご存知の通りですが、半側空間無視は補償運転が可能であり、そのような器用なドライバーは、そう簡単に半側空間無視を表に出しません。かなり難易度の高い空間認知力が必要な、複雑な運転、例えばクランクをバックで運転する、長時間運転してもらう、重複する注意課題を与えるなどをやってみないとわからないことがあります。

私の経験上、教習所のコース走行の内容や50分という時間制限での評価で、半側空間無視による運転への影響を判断することは困難ではないか?と思います。

 

by 理事長
2019年08月24日