モータースポーツ活動と身障ドライバーの運転能力

 理事長の佐藤でございます。

私はこの会の代表者であるとともに「パラモジャパン」というモータースポーツ団体の代表者も務めさせて頂いております。

パラモジャパンとは、障害者モータースポーツというパラスポーツの統括組織でして、

パラリンピックの競技種目ではありませんが、800名程度の会員で組織されています。

私自身がプロのレーシングドライバーの新人育成事業を手掛ける会社を経営していたこともあり、

この経験を生かして健常者を超える身障レーシングドライバーを育成する団体です。

 

自動車レースでは、極限の環境で通常の自動車運転よりも、より正確で迅速な操作が求められますので、運転における身障ドライバーの弱点が如実に表れ、その解決に何が必要なのか?

対策は実効性のあるものだったのか?はタイムや順位で数値化されます。

 

ここで一つの事例をご紹介しましょう。

自動車レース車両の車内を写真などで見ると、バケットシートと呼ぶ、体をすっぽり覆うような形状の座席に座り、両肩と腰を固定する強固なシートベルトをドライバーが装着しているのに気づくと思います。

 

このスタイルの大きな目的は事故が発生したときに体が衝撃を受けないよう固定する役割ですが、もう一つ重要な役割があります。

それは、運転中の座位保持を確保する、という役割です。

運転中の体に作用する様々な振動や左右前後加速度に対して座位を確保する。

このことによって、ハンドルを握る腕に余分な力がかからず(座位保持の支えとしてハンドルを利用しないという意味)その分、迅速で正確なハンドル操作を実現することが出来るようになります。

両手でハンドルを握ることで、体を支えてしまうと、的確にハンドル操作をすることが出来ないのです。

これは、身障ドライバーの日常の運転操作にも通用する理屈です。

座位保持に課題のある運転者の多くは、ハンドルを座位保持の支えとして利用しつつ、ハンドル操作を行います。このような操作、力の配分は、正確な操作を妨げ、事故を回避するという一番重要なシチュエーションで、避けきれない、また避けすぎてしまう、ということが起こります。

 

身障のレーシングドライバーの場合は、片手でハンドルを握るケースが多いため、ハンドルを握ることの影響は、健常者に比較して深刻な影響を与えます。

問題の解決には筋力強化が最も重要ですが、なによりも運転中の座位保持性を高めるクッションの利用が有効です。

 

このように、障害者モータースポーツで得られる様々な知見は、一般の身障ドライバーの安全な自動車運転に生かされています。

 

パラモジャパンでは身障ドライバーによる耐久レース挑戦プロジェクト「ドリームメーカーレーシングプロジェクト」を2012年から行っていますが、2018年度は年間順位3位を獲得しました。このレースは80数台のエントリーがあり、私ども以外はすべて健常者のチームです。

「体に障害があっても安全に自在に自動車を操れる」ことを、広く社会に発信する事業でもあります。

ご興味のある方は是非WEBサイトをご覧ください。

★パラモジャパン公式サイト

★耐久チーム公式ホームページ

 

 

by 理事長

2019年02月24日