運転評価における医療の責任

 理事長の佐藤でございます。

臨時適性検査に係る診断書作成を実施しない医療機関は大変多く、「運転リハビリ難民」ともいえる当事者からの相談案件は、当会に最も多く寄せられる内容の一つです。

診断書提出に必要な評価や診断書作成は、本来の医療行為とは別の側面がありますので、運転評価を行うか行わないかは、医療機関の判断にゆだねられています。

他方で、運転評価や診断書作成を行わない医療機関の多くは医療行為であるかどうか?よりも、「運転について責任を負えない」という立場であることが多いようです。

もし「運転についての責任」を心配されているのでしたら、あなたは診断書作成の在り方そのものを誤解しています。

 

法的には、診断書作成によって運転再開をされた方が交通事故を起こした場合、医師が刑事責任を問われることはありませんが、民事訴訟はその限りではありませんので、訴訟リスクはないとは言えないでしょう。これは運転に限らずすべての病院のお仕事においても起こりうると言えるでしょう。民事訴訟が起きれば、勝敗に関わらず医師の負担は大きいものがありますので、これを回避したいという医師の気持ちも理解できます。

しかし、当会が様々な医療機関とのやり取りの中で実感としてあるのが、「医療機関が負わなくてもよい責任を(あえて)負っている」ということです。

 

例えば運転評価の結果についての患者とのやり取りの中で、「運転できますよ」という言い方をしていませんか?

「運転できる」という言い方をしたならば、患者は「自分は安全に運転できる」と解釈します。

こういう言葉をかけてあげれば、患者さんの希望を実現できた医療機関も患者もともに喜ぶ笑顔が浮かびますが、このような言い方は誤解を生み、「まさに民事訴訟のリスク」です。

さらに「安全に運転できますよ」などと言ってしまったら、事故が起きた時に医師は責任を持ちます。と言っているのに等しいです。

いずれにせよ、医療機関は、「わざわざ負う必要のない責任を自ら背負っている」と言っても過言ではありません。

特に運転支援を一生懸命に取り組んでいる医療機関ほど、このような言い方をします。

 

では、患者に対してどのような言葉をかけるべきなのか?

それは道路交通法に書いてある通りです。

通常の医療において、その基盤となる法制度に医師法や診療報酬制度があるように、運転に関する診断書作成の一連の手続きは、道路交通法が基盤となっています。

道路交通法を理解せずに運転評価を行うことは、医師法を理解せずに医療行為を行うことと同義であると当会は考えています。

 

運転リハフォーラムに参加された方にはすでにご存じのことと思います。

6時間の講義の中で何度も何度も出てきた言葉「運転できる」と「免許更新できる」を切り分けて考える。ということです。

この答えを知るだけでも、研修会に参加する価値があると思います。

 

 

by 理事長

2019年02月24日