身障者用運転補助装置の選び方と使い方

身障者用運転補助装置とは?

自動車の運転は、本来ふたつの手、二つの足で操作するよう作られていますが、体の一部に麻痺や切断、欠損などがある方でも安全に、健常者と変わらずに運転できるよう、障害のある部位での操作を補う目的で取り付ける装置を運転補助装置といいます。ペダル操作以外にも、例えば乗り降りのサポートやワイパーやウィンカーの操作、車いすの収納など、障害によって行うことが困難な動作を補ってくれる装置類やその改造も、運転補助装置です。

基本的に、アクセルブレーキ装置(手動装置や左アクセル、足動装置)とそれ以外の運転装置類(旋回装置やスイッチ類の改造や移設他)を組み合わせて使います。

組み合わせの際は、自分の障害に合わせて様々な種類の装置類から、メーカーと相談して決定します。

上記のほかにも、障害の部位や程度にあわせた様々な装置があります。

①旋回グリップ (片手でハンドル操作をする装置で、ハンドルを握ることが出来ないような方でも握ることが出来るものもあります)

②トランスファーボード (車椅子からの移乗をサポートする装置)

③車椅子格納装置 (車椅子の積み込みを補助する装置)

④ペダル延長装置 (ペダルの位置を後方へ延長する装置)

⑤パワステ装置 (パワーステアリングの操作力を軽減する装置)トヨタフレンドマチック車ホームページへ移動する

⑥左ウィンカー装置(左手でウィンカーやライトのスイッチを操作する装置)

⑦その他(ドアの開閉やサイドブレーキ、シフトレバーなどの操作をしやすくする機器)

⑧座位保持装置(運転中の座席からの転倒を抑止する機器)

手動装置と旋回グリップの大切な役割

手動装置と旋回グリップの役割は、大きく2つあります。

1つ目は障害を補って操作を補助する目的。そして、もう1つの役割は「運転中の体を支える」目的です。

運転中の車は加速、減速、右左折時に前後左右に揺れます。また、事故を回避するために急ブレーキや急ハンドルの操作をしなければならない時もあります。

そのような時にも座席にきちんと座っていることが難しいのが、身障ドライバー、特に下肢障害者の最大の弱点です。

両下肢障害や片麻痺の方の多くが、着座姿勢の保持に不安を感じており、「実際に運転中に座席から転げ落ちた」という経験をほとんどの身障ドライバーがします。

このような事態になれば、大きな事故を起こしたり、事故を回避操作ができないことになってしまいます。

従って身障ドライバーは、運転中はいつも運転補助装置やハンドルに力を掛けて、体が転げ落ちないように支えている必要があります。

このように、運転補助装置は、座位を保持するためにも重要な働きをしているのです。

従って、運転補助装置には重い体を支えることが出来るだけの強度が必要なのです。

運転補助装置を選ぶにあたって、その製品がしっかりと強度のある製品なのか?よく確認することが大切です。

残念なことですが、必ずしも世の中に出回っている製品のすべてが丈夫に作られているとは限りません。

また、強度という意味からも、自作や専業メーカーでない者が作った装置の使用はお勧めしません。

このような装置を使って、あっという間に事故を起こした人たちから、当会へ相談が来ています。

どのような装置を使うかは免許センターが決定しますが、注意も必要。

初めて運転補助装置を使う方にとって、そもそもそのような装置を見たことがないという方がほとんどです。

障害は個々人によって千差万別であり、自分の障害に合う装置はどのようなものなのか?どんな装置をつけたいいのか?困ってしまいます。

まず、大前提になるのは、運転補助装置を使うか使わないか?、

また、どの種類の装置を使うのか?は、免許センターで行う「臨時適性検査」で決まります。

臨時適性検査では運転に関する身体能力をチェックしますので、その結果によって担当官が決定します。

決定すると、新しく交付される免許証に、「手動運転装置に限る」や「左アクセル装置に限る」などの限定事項が記載されます。

このように記載された免許を交付された場合は、その装置が装着された自動車以外の自動車の運転は禁止されます。

このように、免許センターでは手動装置か左アクセルか、又不要なのか必要なのかについて決定しますが、その他にも安全な運転をするには必要とする機器類はたくさんあります。

例えば旋回グリップ。免許センターでの限定事項には含まれませんが、片手でハンドル操作をする必要がるケースでは不可欠な機器です。

またウィンカーやワイパーをきちんと操作するための機器類、サイドブレーキを十分操作できるための装置などです。

このような装置類は免許センターでは説明してくれませんので、装置メーカーや当会に相談してください。

装置はどこで買うの?

まず、大事なことですが、装置を単品で購入することは原則できません。また、単品で購入した場合、自動車購入時の消費税減免措置が受けられません。

「運転補助装置を買う」ということは、車への改造行為全体を買うことであり、装置は改造のための部品の一部です。

従って、運転補助装置を購入するということは、装置のクオリティと、改造のクオリティの2点が重要となります。

国内では装置製造メーカーと改造業者は、それぞれ別の業者が行う場合と、装置メーカーが改造も行うケースと2種類あります。

装置が良くても改造が悪ければ、安全とはいえません。

そのような意味からも、自分で装置を買って取り付けるというのは危険です。

最近ネットオークションなどでも中古の補助装置が販売されているケースがありますが、同様の意味からも購入はお勧めしません。

また、装置は車種専用に改造されているため、他の車種への汎用性はありません。

現在所有している車に装置を取り付ける場合も、新規で車輌を購入して、その車に装置をつける場合も、自動車販売会社(ディーラー)で対応可能です。

出来れば自分が欲しい装置のカタログなどを持参して「この装置を付けてください」を言えば手配してくれます。

また、運転補助装置を製造販売している会社に直接依頼することも出来ます。

特に中古車販売業者で購入した車に装置をつける場合、自動車ディーラーで対応出来ないケースがあります。

運転補助装置の製造メーカーは、全国に支店や代理店網を持っていますので、お住まいの地域に近い店舗に連絡をすれば対応してくれます。

メーカーによっては、車の引き取りや納車のサービスや、出張取り付けに対応している社もあります。

クルマ選びについて

これから新しい車を購入して装置を取り付ける場合、より障害の状態にフィットした車種を選ぶことが出来るようになります。車種を選ぶ際に注意する点を以下に記載します。

①トランスファーがし易い車種を選びましょう

車種によってトランスファーがし易い車種とし難い車種があります。

車椅子の高さと座席の高さのバランスや、ドア開口部から座席までの距離などは車種によってまちまちです。

近年は横方向からの衝突安全性能を高める目的や車体剛性を高める目的で、ドア開口部から座席までの距離(幅)が大きくなる方向にデザインされている車種が増えています。

ドアを開けてから座席に移乗する際に、距離が離れているほど移乗が難しくなります。

これらの困難をサポートしてくれるトランスファー用サポート台などもありますが、出来れば最初からそのような装置の取り付けが必要ない車種を選ぶことをお勧めしています。

②車椅子の積込みの可否を確かめよう。

運転席と助手席の間にあるセンターコンソールの高さが、非常に高くなっている車種が増えています。(例えばプリウス等)

このような車種ですと、車椅子を自力で後部座席に収納することが出来ません。

プリウスだけではなく、最新の車種にはセンターコンソールが高い車種が増えています。

知らずに買ってしまうと、車椅子を収納できずに困ったことになります。

屋根の上などに収納する専用の装置を付けることで解決可能ですが、かなりの費用がかかりますし、

屋根に収納装置を付けると車体の全高が高くなり、一部の駐車場に入庫できないなどの不便さが伴う場合があります。

車の購入前に、是非確認して頂きたいと思います。

③ハンドル操作力の軽減対応

上肢の筋力が低下して、ハンドルを回す力が弱い方向けには、トヨタ自動車から販売されている{パワーステアリング力の軽減オプション)を選択する方法で快活する場合があります。

純正仕様の1/2の操作力で、ハンドル操作が可能です。適用車種が限られていることと、新車注文時にのみ設定可能(買った後に付けてもらうことはできません)なので注意しましょう。

④座席の座位保持性能

クルマの座席は車種によってまちまちです。特に近年は輸出を前提とした設計になっている車種が多く、日本人にはそもそも大きすぎるサイズのものが多いといわれています。

特に下肢に障害がある方は、運転中の座席からの転倒に注意しなければなりませんので、座り心地(座位保持性)を購入前にぜひ確認してほしいと思います。

高級車には、ドライバーの体形に合わせられるような調整機能付き座席などもありますので検討してください。

どうしても座位保持性に不安がある場合にはユニバケを使うなど、工夫が必要です。

なお以前は純正座席をセミバケットシートへ変更することで、座位保持性能を確保する方が多数いましたが、

現在では、座席の変更をした車の車検を受け付けないディーラーが増えるなど、車の維持に困難が生じることがありますので、注意が必要です。

自動車改造に伴う公費助成や消費税減免について

運転補助装置付きの車を購入した場合、健常者に比べてその部品代や改造費用の出費が増え、障害者の自立と社会参加を阻害することになるため、消費税の減免措置や自治体からの助成を受けることが出来ます。

装置(部品)の購入費用として、自治体の福祉助成(助成を受けるには自治体ごとに条件が異なりますので役場の障害福祉課に問い合わせが必要です)

クルマの改造費用として、自動車購入時の消費税減免措置(車への改造が伴わないものや、自動車購入後またはすでに持っている車への改造は適用外)

大きく分けて上記二つが利用可能です。

運転補助装置の使い方

初めて運転補助装置を使う方に是非知っていただきたいことがあります。
  ① 慣熟期間が絶対必要です
  ② 初心者ドライバーからの再出発
  ③ 運転中の着座姿勢の維持
  ④ 左アクセル装置はかなり難しい
  ⑤ 旋回グリップを付けよう

こちらの紹介は、「安全な自動車運転のために」のページをご参照ください。